福岡、大分両県に大きな被害をもたらした九州豪雨は8日、発生から4日目となり、福岡県朝倉市で新たに3人の死亡が確認され、犠牲者は計18人になった。災害後初の週末となったこの日、全国から続々とボランティアが被災地入り。自衛隊などによる捜索活動が続く中、復旧に向けた動きも始まった。

 大分県日田市山田町。濁流と流木に襲われた会社員栗秋勲さん(62)の自宅では、同県由布市の中島昇さん(67)ら5人が、泥のかき出しを行っていた。日田市の梅山忠信さん(76)の呼びかけで集まった「チーム大分」のメンバーだ。東日本大震災や熊本地震など各地で活動してきた。

 栗秋さん宅は築110年の日本家屋。家には足に障害がある姉と、姉の娘2人の3人がいた。5日の夕方、仕事先から帰ってきたが、集落の入り口の高台から見下ろすと、自宅周辺がすでに濁流にのまれていた。

 高台で車中で一夜を明かし、6日、水位が下がったところで自宅へ。3人は2階に避難して無事だったが、濁流が壁を突き破って通り抜けた1階部分は厚い泥に覆われ、10日前に買ったばかりの車も泥に埋まっていた。

 栗秋さんは「5年前の九州豪雨では床下浸水だった。50年に1度と言っていたのに」と肩を落とす。姉ら3人を親族宅に避難させ、1人で片付けようにも「とても無理だった」。ボランティアの支えに「本当に助かります」と感謝した。

 日田市の大鶴地区には、相模ナンバーの軽トラックが到着。乗っていた神奈川県小田原市の会社員土居章敏さんとボランティア仲間の東京都荒川区の曽根久美子さんは、すぐにチェーンソーやスコップを降ろし、作業に加わった。軽トラックは、熊本地震の支援で今も使っている南阿蘇村から持ってきたという。

 南阿蘇で「おやっさん」として知られ、今回も重機を持ち込んで作業を続ける井出順二さんを中心に、東日本大震災や熊本地震などで経験を積んだボランティア仲間20人以上が次々と駆けつけた。曽根さんは「ここで災害が起きているから、ここに来ている。できる範囲で、できることをしたい」と話した。【清水優】