どうなっているのか気が気でなかった、宮城・志津川湾、唐桑湾に岩手・大槌湾。被災地の海では、カキの養殖イカダが復活していた。ウニやヒトデが産卵し、ワカメなどの海藻が繁茂していた。

 「被災地の痛みが癒やされることはない。ただ、海の中の生物はしたたか。温暖化や環境破壊にも対応し、あっという間にケロッとしている。命の輝きがそこにあり、いつも通りの生活を続けている。我々もいつまでも後ろを向いてちゃいけない」。現実を伝える一方で、命の営みを続ける海が豊かであってほしいとの願いが、メッセージに込められている。【赤塚辰浩】

 ◆中村征夫(なかむら・いくお)1945年(昭20)7月1日、秋田県潟上市生まれ。19歳の時、神奈川・真鶴岬で水中写真を独学で始める。撮影プロダクションを経て、31歳でフリーに。77年東京湾に初めて潜り、ヘドロの海でたくましく生きる生物に感動。以降ライフワークとして取り組む。数々の現場経験を生かし、海の魅力や海を巡る人々の営みを伝えている。09年に潟上市でフォトギャラリー「ブルーホール」開設。事務所は東京・世田谷区。

 ◆写真展「永遠の海」 8月9~21日、松屋銀座8階イベントスクエアで開催。時間は午前10時~午後8時。三陸のほか、ミクロネシア、沖縄など国内外の海に関する写真約130点を展示。同12、13日午後2時からは、東京・銀座フェニックスプラザでトークイベント&サイン会も開催予定。料金は一般800円(前売り600円)、高校生600円(同500円)、小・中学生400円(同300円)。問い合わせ【電話】03・3567・1211。http://www.matsuya.com/