若手弁護士とのダブル不倫疑惑で民進党を離党し、愛知7区から無所属で立候補予定の山尾志桜里氏(43)は地元でおわび行脚を続けている。地元有権者の厳しい視線の中、公示2日前の8日は瀬戸市内で街頭演説を行った。疑惑報道後の民進党の大混乱は、安倍首相が解散を決断した要因の1つともいわれているが、山尾氏は「私自身ができることは今回の選挙でしっかり議席をつなぐこと」と“復活”を誓った。

 愛知県瀬戸市のホームセンター前での街頭演説。青いワンピースに紺のジャケット姿の山尾氏がマイクを置き、顔見知りの支援者の女性に駆け寄った。「大丈夫?」と不倫疑惑について聞かれると「恥ずかしいことはしていません。堂々といきます」と説明した。

 9月下旬に地元の支援者を集めた会合で無所属の出馬を表明後は街頭に立つ。街頭では厳しい視線がある。握手を拒む子ども連れの女性もいる。山尾氏は「厳しい言葉も皆さんの声だと心に刻みます」とおわびし、「これまで以上に頑張ります」と訴える。

 9月初旬に週刊文春に疑惑が報じられ、内定していた党幹事長への起用が見送られた。疑惑報道は民進党を直撃し、安倍首相が解散を決断した要因の1つともいわれている。日刊スポーツの取材に「私は当事者なのでなんとも言えませんが、私自身ができることは今回の選挙でしっかり議席をつなぐことです」と答えた。

 山尾氏は小学4年の時にミュージカル「アニー」の初代アニー役を務め、東大法学部を卒業後、司法試験に合格。07年まで検察官だった。09年に初当選。昨年、ブログの「保育園落ちた日本死ね」の言葉を国会で取り上げ、待機児童問題の追及で注目されるなど、民進党のエースとして期待された。

 離党後、民進党は事実上解党し、分裂した。山尾氏にも激動の1カ月だった。今回は国政選挙4度目で、初の無所属。愛知7区には自民前職鈴木淳司氏(59)が出馬予定。鈴木氏とは過去3回の対決で2勝1敗。前回選挙では約5000票差で辛くも当選した。

 「比例復活がないのは厳しいですが、いまの私には無所属がふさわしい気がします。安倍政権に立ち向かう声として私を使ってほしい」。初代アニーが崖っぷちに立っている。【松浦隆司】