安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設計画が認可されたことを受け、与野党は15日の衆院文部科学委員会で、認可判断の是非や首相の関与の有無などについて、激論を交わした。野党の追及に政府側が答弁に詰まる場面もあったが、疑惑の「張本人」の首相は不在だったため、約4時間の議論は平行線で終わった。

 野党側は、政府の国家戦略特区制度を活用した学園が、活用の際に必要な「4条件」を満たしていないと批判。党として国会初論戦となった立憲民主党の逢坂誠二氏の追及に、内閣府の長坂康正政務官は「(4条件は)問題ないことを確認した」「前大臣が確認している」とあいまいな答弁を続け、議事がストップ。「ちゃんと答えろ」とやじが飛び、疑惑の払拭(ふっしょく)には至らなかった。

 林氏は、認可を妥当とした上で、首相から文科省への指示について「そういうことがあったとすれば適切ではない。なかったと承知している」と、あらためて否定。一方で、文科省の大学設置・学校法人審議会(設置審)が、新設を「可」と答申するまでを議論した経緯の公開には応じない構えをみせた。認可の前提となった設置審の議事録の公開を求められると、「個々の発言や見解を明らかにすれば、率直な意見の交換が阻害され、公平な議論が妨げられる恐れがある」と述べ、個別の議事録も作成していないと主張。議論の経緯は、「ブラックボックス」となる可能性がある。

 首相はこの日、外遊から帰国。17日に行われる所信表明への代表質問や、その後の予算委員会で、野党と久しぶりに激突する。「丁寧に説明」という約束は果たされるか。【中山知子】