「ひふみん」こと、将棋棋士の加藤一二三(ひふみ)九段(77)が、あなたのお悩み相談に答えます。

 14歳でプロになり、今年6月に引退するまで63年間、勝負の世界に身を置いてきました。敬虔(けいけん)なキリスト教徒として30歳で、洗礼も受けています。生きる厳しさと、聖書の教えをベースに、指導対局ならぬ、人生指南をしてくれます。毎週水曜日に掲載します。

 ◇  ◇

<質問>

 たまたま、得意先として請け負った仕事から24歳の風俗嬢と知り合いになりました。とても良い子で、30歳の息子の嫁にと思い始めました。家族には「風俗嬢」であることは内緒にしようと思っています。「うそも方便」で。私と彼女はなんら関係はありません。かわいい嫁になってほしいだけです。(62歳 男性会社員 福岡県)

<回答>

 生涯の伴侶を得る結婚というのは、とても大切なことです。相性は大事ですが、うそをついてまではお勧めできません。今は大丈夫でも、いずれ明るみに出ます。

 この場合、見過ごしたり、笑って許せるような小さなうそとは訳が違います。家と家とのお付き合いになるのですから。ばれてしまった時にトラブルの元になりそうです。親心で良かれと思ってやったことでも息子さんから「偽られた」という思いが出てからでは遅すぎます。親子の間だからこそ、公明正大であるべきです。

 お父さんが息子さんのお嫁さんについて考え心配されているのはお察しいたします。それでしたらむしろ、合コンやその他の出会いを求めての「婚活」の方がいいでしょう。

 最近の若い人たちはなかなか結婚に踏み出せませんが、その前に出会いがないんじゃないかと思います。仕事はもちろん大切ですけど、このほかの活動を通じて出会いを求めてみてください。

 映画ですとか音楽ですとか、共通の趣味があるかもしれません。食べ物の好みだっていいんですよ。どこかに必ずいい出会いはあるはずです。人生が発展していくかもしれません。ないことを嘆くよりも、いいことはないかと積極的に活動を起こせばいいことが舞い込むはずです。

 ◆募集 日刊スポーツでは「ひふみん」の愛称で人気の将棋棋士・加藤一二三(ひふみ)九段(77)への質問を募集しています。▶郵便=〒104・8055日刊スポーツ新聞社編集局文化社会部▶ファクス=03・5550・8828▶メールsoudan@nikkansports.co.jp。それぞれ「ひふみん」係へお願いします。皆さんのお悩みをたくさんお寄せください。