希望の党執行部は、党創設者で、現在特別顧問を務める小池百合子前代表(65=東京都知事)に、離党を促す調整に入る方針を固めた。支持率低迷の中、イメージ刷新と、野党連携重視へ軸足を移す狙いがある。基本政策で隔たりのある、結党メンバーの松沢成文参院議員らと合意の上で党を分割する「分党」を検討。将来の党名変更も視野にあるが、敗れたとはいえ、衆院選では小池氏の協力を得ながら、選挙が終われば“排除”に動く都合の良さに、批判は必至だ。

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 小池氏による「排除」を免れた国会議員たちが、今度は小池氏の「排除」に動く…。希望の党内で、党再生を大義名分にした“下克上”計画が進行していることが分かった。

 玉木雄一郎代表ら執行部は、報道各社の世論調査で政党支持率が1%台に落ち込んだままの現状を深刻視。昨年の衆院選で「排除の論理」を振りかざした上、選挙後に代表を辞任した小池氏の影響は、少なくないと見ている。

 「どうしても希望と聞くと小池氏の党だ。それとは違う『玉木カラー』を出す」。玉木氏は21日の講演で、党勢回復には「脱小池」の実現が不可欠との認識を強調した。小池氏は現在、党運営には関与していないが特別顧問を務める。執行部は、特別顧問の肩書を持つ小池氏の離脱措置が巻き返しに不可欠とみている。

 玉木執行部と、小池氏と近い党創設メンバーとの間で、安全保障政策に代表される路線の違いは大きい。執行部はきょう26日の両院懇談会で、憲法観や安保政策を明示した党見解を示すが、松沢氏らとの見解の相違が浮き彫りになるのは明らかだ。党内の路線対立が、野党各党との連携にも影響しているとみて、松沢氏らの意向を踏まえ、分党の可能性も探る方針だ。

 小池氏は衆院選後、国政とは一線を画しており、執行部の「排除」にどう対応するかが焦点。小池氏と行動を共にした前原誠司氏らの動向も焦点だ。

 ただ、希望の党の国会議員は、小池氏の呼び掛けに応じて希望に移った。現在議席を得ているのは、衆院選で小池氏の応援を得て当選を果たした面々だ。「用済み」となれば、今度は前代表を排除するのは「責任の押しつけ」(政界関係者)との批判も出ている。

 加えて、分党に必要な5人以上の国会議員を確保できないとの見方もある。小池氏が離党しても、党支持率が上がる保証はない。執行部の思惑通りに進むか、流動的な部分も残る。