20日で地下鉄サリン事件から23年となるのを前に、研究者や弁護士らでつくる「日本脱カルト協会」が19日、都内で会見を開いた。一連の事件で死刑が確定したオウム真理教の関係者13人のうち、松本智津夫死刑囚(教祖名麻原彰晃)以外の12人の、死刑執行の回避を求めた。

 事件を巡る教団関係者の裁判は、1月までに全て終結。今月14日以降、13人中7人が東京拘置所から全国各地の拘置所に移送された。移送は刑執行の準備の一環とみられる。

 西田公昭代表理事らは、12人は松本死刑囚にマインドコントロールされた「ロボット」だったと主張。死刑囚の多くが獄中で罪の重さを認識し、自身の誤りに気付いているとの見解を示した。協会は15日付で、12人を無期懲役に減刑するよう求めた要請書を上川陽子法相に提出している。

 メンバーの1人で、自身もサリンで襲われた滝本太郎弁護士(61)は、「この12人の中には、私を殺そうとした人も入っている」と明かした。その上で、「オウムを破滅させるためにも、今後同じような事件を起こさないためにも、彼らには死ぬまで反省し、時に発信してもらう必要がある」と述べた。

 また「オウム真理教家族の会」会長で、95年1月に猛毒VXで襲撃され一時重体となった永岡弘之さん(79)も会見に出席。「純粋無垢(むく)な少年少女がだまされ、出家した。こうした事件を二度と起こさないためにも、彼らには生きてもらわないといけない」と訴えた。