森友学園への国有地売却に関する財務省の文書改ざん問題を巡り、佐川宣寿・前国税庁長官(60)の証人喚問が27日、参院の予算委員会で行われた。

 立憲民主党の福山哲郎氏は、佐川氏が「刑事訴追の恐れがあるので差し控えさせていただきます」などと繰り返したことに対し「証人喚問は逆に疑惑を深め、あなたは火に油を注いだ」と、冷静な語り口ながら痛切に批判し、場内で拍手が湧き起こる一幕があった。

 福山氏が「(改ざんに)関わっていないなら、関わっていないと答えればいい。理財局の中でやった1人?」と聞くと、佐川氏は「捜査の対象になっているので」と回答を拒否した。「あなたもその中の1人ということ?」と重ねて聞くと、佐川氏は「誰が、というのは経緯…捜査に関わる」とかわした。

 福山氏が「なぜ官邸、大臣の関与だけ明確に否定する。それも経緯ではないか?」と追及すると、佐川氏は「冒頭、申し上げましたが国有財産という個別案件は理財局で対応する。指示はなかったのでありませんと申し上げた」と、あくまで一般論を口にして切り返した。福山氏は「関与したかも言っていないんだから、全く矛盾している。改ざん前の文書があったとは、ご存じか?」と聞くと、佐川氏は「決裁文書は、30年保管の原則がある。私自身がいつ認識したかは答弁を控えさせていただきたい」と、またも一般論を口にするにとどめた。

 さすがに福山氏も「理解できない。(国会で)答弁しているわけですから。虚偽の答弁はどこで誰が何の根拠で作った?」と追及すると、佐川氏は「虚偽の答弁の認識に関わる。同様の認識です」と言い、回答を拒否。福山氏は「虚偽かどうか別にして、あなたの虚偽の答弁を元に原課(担当している部署)は作ったのでは?」と聞くと、佐川氏は「理財局の答弁は、官房の決済を受けるわけじゃなく、原課が作ったものを私が読んでいた」と答えた。

 福山氏は「理解しがたい答弁…信じられない。あなたは勉強の成果と言うが(証人喚問では)あなたの勉強の成果を聞くわけじゃない」と問いかけると、佐川氏は「(森友学園への国有地の)貸し付けも売却も鑑定士にかけてやっている」と終始、一般論を元に答弁。福山氏は声を荒らげることこそなかったものの、怒りとあきれの入り交じったような表情を浮かべた。