新潟市西区のJR越後線の線路で、近くに住む小学2年大桃珠生(たまき)さん(7)の遺体が見つかった殺人、死体遺棄事件で、事件当日の7日、大桃さんが同じクラスの友達に「(朝の登校中)黒い服を着たサングラスのおじさんに追い掛けられた」と話していたことが9日、分かった。新潟西署捜査本部は、事件との関連を調べている。この日、大桃さんが通っていた市立小針小学校では、保護者や地域の住民が児童の登下校に付き添い、不安そうな表情で見守っていた。

 大桃さんは、事件当日の学校で不審な男の存在を明かしていた。市教育委員会によると、学校がこの事実を把握したのは7日夕。大桃さんの母親から学校に「娘が帰ってこない」と連絡を受け、仲の良かった児童に話を聞き、判明した。学校はこの報告を受け、すぐに警察に伝えたという。

 昨年9月には、同小の女子児童が男に体を触られたりする不審者情報も3件あった。うち1件は、小学2年(当時)が登校中に手をつかまれ、学校を通じて県警にも相談していたが、犯人は特定できなかった。

 この日朝、学校は臨時の全校集会を開いた。長谷川豊校長(56)は約700人の児童に大桃さんが亡くなったことを説明。「心配や不安があればなんでも相談してほしい」と呼び掛けた。児童らは、しんみりとした表情で聞いていたという。犯人が捕まっていないこともあり、登下校には保護者や地域のパトロール隊が付き添った。下校時には学校に約100人が集まり、帰宅方向ごとに児童をグループ分け。多くの教職員も途中まで付き添うなど、厳戒態勢だった。

 大桃さんとクラスが隣だった子を持つ40代の主婦は「子どもはまだ現実を分かっていない様子だが、とにかく驚いている」と語った。3年の孫を迎えにきた女性(56)は「うちの子も1人で帰ることが多かった。本当に怖い」。この女性によると、孫が1カ月ほど前「友達が学校の近くでサングラスにマスク、帽子をかぶった怪しい男を見た」と話していたという。

 大桃さんは、7日午後10時半ごろに上り普通列車にひかれ、死亡しているのが見つかった。遺体発見現場は、青山浄水場と閑静な住宅街の間。市水道局によると、浄水場は夜間は施錠されており、防犯カメラもある。警察も映像を調べたが、怪しい人物は確認されなかったという。住宅街側の柵は高さ120センチほどで、容易に出入りが可能だ。

 近隣住民によると、現場近くで午後10時ごろ、停止している不審な車を見た人もいるという。大桃さんの通学路で電気店を営む女性(70代)は「元気な小学生を見るのが楽しみだった。女の子がかわいそう。早く犯人が捕まってほしい」と願った。【太田皐介】