イスラム組織ハマス掃討を掲げてパレスチナ自治区ガザ最南部ラファへの侵攻を計画するイスラエルのネタニヤフ首相は9日、「あらゆる手段で戦う」と表明した。本格侵攻すれば武器支援をやめると米国が異例の強い警告を発する中、強硬姿勢を堅持。イスラエル軍のハガリ報道官は「作戦に必要な武器弾薬はある」と強調した。

イスラエルとハマスを仲介するエジプトの首都カイロで開かれていた戦闘休止と人質解放を巡る間接交渉は合意に至らず、9日に終了。イスラエル紙ハーレツによると、関係筋は話し合いが「完全に崩壊したわけではない」とし、仕切り直しになる可能性を示唆した。

イスラエルはラファ本格侵攻の計画を進める構え。ネタニヤフ氏は動画声明で、反対する米国を尻目に「単独で戦う必要があるならば、そうするだろう」と述べた。

カービー米大統領補佐官は、ラファに本格侵攻した場合、間接交渉で不利になり「ハマス壊滅の目的を果たせない」と述べ、自制を促した。

米国は既に、イスラエルに提供する一部の爆弾について輸送を停止しているが、カービー氏は「イスラエルは自衛に必要な武器の大部分を受け取り続けている」とし、米国の兵器の供与は続いていると説明した。

イスラエル戦時内閣に加わるガンツ元国防相は「米国にはイスラエルが作戦を完遂するため、武器を提供する道徳的、戦略的な義務がある」と強調した。

イスラエル軍は9日もガザ各地で攻撃を継続。パレスチナ通信によると、ラファなどで住宅が攻撃され、民間人が複数死亡した。ガザ保健当局によると、戦闘開始後のガザ側死者は3万4904人。(共同)