日本中が、サッカーW杯日本代表の躍進に歓喜する中、グループステージ突破がかかる第3戦ポーランド戦を翌日に控えた27日、「道頓堀ダイブ」で知られる大阪・道頓堀の戎橋では、異例の注意喚起パネルが登場した。

 戎橋では、第2戦セネガル戦後の25日未明、ファン約500人が橋上に集まり、歓喜のジャンプ。大勢が同時にジャンプしたため、橋が波打つように揺れ、地震と錯覚するような振動があり、危険な状態に陥った。

 これを受け、26日には、吉村洋文大阪市長(43)が自身のツイッターで、「絶対に戎橋の上で飛び跳ねないで下さい。『極めて危険』です」と注意を呼びかける投稿をするなど、大きな問題となっている。

 この問題を受け、同橋を管理する大阪市建設局企画部工務課は、管轄の大阪府警南署と連名で、欄干の内側に「飛び跳ねないで」という注意喚起のパネルを設置。日本語、英語、中国語、韓国語の4カ国語で書かれた同パネルは、「飛込み危険」のパネルとともに、あわせて20枚ほどが等間隔に並べられた。

 同課によると、「(第2戦の)セネガル戦後に、設置した。阪神の優勝などで、飛び込みに関するパネルを掲げたことは何度もあるが、飛び跳ねに関する注意喚起のパネルは初めて」と言い、異例の対策となった。

 橋の揺れについては、加わった力を逃がすために揺れる構造となっていると話したが、構造計算上で約500人が同時にジャンプすることは想定されていないとした。道頓堀川の水質についても「飛び込むのに適している川ではない。安全な水質の状態にない」と説明した。

 橋の警戒にあたる南署では、第2戦で約40人だった警備員を、倍増の約80人に増やし、第3戦に対応すると明らかにした。

 取材に応じた南署の川畑慶和副署長は、「応援については尊重したい。ただ、それが違った方向に向くのは危険」と応援のやり方に言及。混乱によって、けが人が出たり、通行の妨げになるようなことはあってはならないとし、状況次第では、マイクで注意を呼びかけたり、人員整理をすることもあると話した。

 ただ、一方では「W杯は国民性を映すと思っている。応援に水を差すようなことはしたくない」とも話し、川畑副署長は大げさな警備は避け、スマートな警備を心がける意向を語った。「私たちはサポーターの“サポーター”でありたい。これが南署の総意です」と、ファンにも“健全な応援”を呼びかけていた。