西日本豪雨は9日までに各地で被害が拡大し、死者は12府県で計126人に上った。安否不明者も岡山県倉敷市や広島市などで大幅に増えて6府県86人となり、死者・行方不明者299人を出した1982年(昭57)の長崎大水害以降、平成で最悪の被害となった。約3割が浸水した倉敷市真備町地区では9日、ポンプ車などによる排水が進められ、複数の遺体が発見された。水の中から姿を現した変わり果てた町では、行方の分からない家族を探す人たちの姿も見られた。

 真備町地区では、避難先から家の片付けに入る人も数多くみられた。アパート1階の部屋を片付けていた教員、中嶋健雄さん(30)も初めての帰宅だった。アパートは2階通路より上まで泥の跡が付いていた。妻は生後3カ月の子どもと県外に里帰り中だったといい、水位が急に上がり始めた7日朝、1人で腰くらいの深さの泥水の中をRV車で避難したという。部屋の中は天井が抜け、買ったばかりの大型冷蔵庫も泥だらけになって倒れていた。中嶋さんは「それでも家族が無事で良かった」と言い、片付けを続けた。