自民党総裁選(9月7日告示、20日投開票予定)をめぐり、対応を検討してきた党内第3派閥の竹下派(55人)が、衆参両院の所属議員の間で投票行動が分裂する可能性が避けられなくなってきた。派閥会長の竹下亘総務会長は7日、所属議員と相次いで面会。参院側(21人)は、石破茂元幹事長に投票する方向だが、衆院側(34人)は大半が安倍晋三首相の3選支持を主張していることが、関係者への取材で分かった。

 今も同派に影響力を保つ青木幹雄元参院議員会長の意向で、参院は石破氏支持でまとまる見通しだが、衆院側は茂木敏充経済再生担当相ら首相に近い議員が多く、事実上の自主投票となりそうだ。竹下氏は8日も調整を続け、明日9日に長野市で開く派閥会合で対応を正式表明するが、完全な一本化は困難な状況だ。

 首相支持の派閥が増える理由の1つは、首相が3選なら、不支持だった派閥が秋の人事で報復を受け、「冷や飯生活」を余儀なくされるとの恐怖だ。竹下氏は会見で「総裁選で多少の過熱はあっていいが、人事をどうするとかそんなばかげた話はない」と、くぎを刺した。石破氏も視察先の長野県内で「そんなばかなことがあるか」と指摘した。

 一方、首相は役員会で「報復人事」について「一切ない」と否定。地方票を意識し、この日も地方議員らと面会した。【中山知子】