米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設阻止を掲げ安倍政権と対立、反対運動の象徴的存在だった翁長雄志(おなが・たけし)知事が8日午後6時43分、膵(すい)がんのため死去した。67歳。

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 普天間飛行場の辺野古移設反対を掲げた翁長氏が14年の知事選で初当選後、県の関連首長選挙や国政選挙はその枠を超え、翁長氏と安倍政権の「代理戦争」になった。翁長氏は「オール沖縄」候補の横に常に寄り添った。現職知事としては異例だが、「私は連日(公務以外は応援に)参りますよ」と話した。立場は応援弁士でも、翁長氏自身が候補として戦っていた。取材で実感したことだ。

 沖縄の自民党県連幹事長まで務めた人物だが、かつて移設先は「県外、国外」で一致していた前知事が辺野古移設承認に踏み切ると、決別。「私は保守だが、本土の保守とは違う。イデオロギーより、アイデンティティーだ」と訴えた。

 14年衆院選でオール沖縄候補が独占した4小選挙区の1つを昨年の衆院選で自民党に奪われ、「死闘」といわれた今年2月の名護市長選では支援した現職が敗北。ぼうぜんとした表情が忘れられない。今の立場で筋を通すため、命を削って活動した。そんな気がしてならない。【中山知子】