自民党総裁選(9月7日告示、20日投開票)に出馬する石破茂・元幹事長(61)が、日刊スポーツのインタビューに応じた。(聞き手=中山知子)

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 -安倍政権の約6年をどう評価しますか

 石破氏 最初の2年は幹事長、次の2年は大臣として、安倍政権の中枢にいました。幹事長時代はあまり感じたことはないですが、地方創生大臣になった時、会見で「自民党は感じ悪いよねと言われないようにしなければ」と何度か言いました。かつて自民党が野党に転落したのは、政策が間違っていたからではない。消えた年金問題、閣僚のスキャンダル、相次ぐ失言…。立ち振る舞いが嫌われたと思う。そう言われないよう、気をつけないといけないと。自民党は今、圧倒的多数を持っているように見えますが、投票率は5割、得票率は4割。かけ算をすると、積極的な自民党の支持者は2割くらいしかいない。それ以外の有権者が、自民党をどう思うかが大事です。だから「感じ悪いねと言われないように」と言ったら、許さないと。批判を許さない自民党は、今まで見たことがない。若いころは、先輩に「若い議員こそが批判をしろ、お前たちがいちばん国民に近い」と言われたものでした。

 -国民の支持は石破さんの方が高いが、自民党支持層の支持は安倍首相に逆転するという世論調査の結果もありました

 石破氏 国民全体がどう思うかは大事だと思う。国民と自民党員の意識が乖離(かいり)するのはいいことではないでしょうね。

 -どう戦いますか

 石破氏 きちんとした討論の機会をつくることです。憲法、外交安全保障、金融財政や経済政策、社会保障。大きく4つくらいテーマを分けられる。だけど総裁の周辺は、やりたくないという(話を聞く)。だったら、仕方ない。こちらができるだけメディアや街頭で訴えるしかない。その計画も立てています。

 -大学時代には、全国学生法律討論会で1位に

 石破氏 私たちは「言葉」が仕事。学者ではありません。野党時代、政調会長や予算委員会の筆頭理事として、民主党政権と議論しましたが、見ている方が、「自民党が言うことの方が正しい」と思ってもらうことが大事と考えていた。大臣として答弁に立つ時も、どうやって分かってもらおうかと。政治家にとって絶対に外せないことです。

 -その部分が安倍政権に足りないから、キャッチフレーズは「正直 公正 石破茂」になったのですか

 石破氏 国民と正面から向き合いましょうよということ。相手が野党でも、誠心誠意接しなければいけない。後ろには多くの国民がいるのですから。経済が伸びて人口も増える時は、そんなに政策を間違えようがない。でも、あと80年で日本の人口は半分に、高齢化の比率は倍になる。設計図を書き換えないと、この国は持続できない。そういう時に、正面から向き合わないでどうしますか。「信用できない」といわれてどうしますか。そこを、いちばん訴えたいと思います。(インタビュー3に続く)