外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法などの改正案は27日夜の衆院本会議で、与党などの賛成多数で可決され、参院に送られた。

これに先立つ法務委員会では与党が強行採決に踏み切り、野党議員の怒号が飛ぶ中、可決された。法案は来年4月の法施行を目指す安倍晋三首相の肝いりだけに、与党側も中身の薄さを認めながらも、「今の国会での法案成立ありき」という本末転倒の論理で、与党が野党を押し切った。

首相が29日に外遊に出発するため、28日に参院で審議入りの見通しだが、野党は参院でも激しく抵抗し、法案成立の阻止を目指す。衆院法務委の採決時には、野党議員が委員長席を囲んで「だめだ」と怒鳴り、マイクを奪うなどしたが、数の力に押し切られた。立憲民主党の辻元清美国対委員長は、過去の委員会採決と比べても「史上最悪の部類だ」と批判。採決に先立ち、野党提出の山下貴司法相に対する不信任決議案も否決。国民民主の山井和則氏は趣旨弁明で「中身はスカスカ、問題だらけの白紙委任法案だ」と酷評した。

実際、法案は受け入れ外国人数の上限など制度内容があいまいで、審議時間も約17時間と短く、データの誤りも発覚。詳細は成立後に法務省省令で定める「前代未聞」(野党)の法案で、官邸の意向に忖度(そんたく)する与党の情けなさが際立った。【中山知子】