千葉県野田市の小学4年生栗原心愛(みあ)さん(10)が自宅浴室で死亡した事件で、心愛さんを一時保護した千葉県柏児童相談所が28日、記者会見し、「保護の解除後、児相と学校の職員が1度も自宅を訪問していなかった」と明らかにした。二瓶一嗣所長は「解除はその時点では妥当な判断と思っているが、その後の対応が不足していた」と陳謝した。

心愛さんは17年9月、沖縄県糸満市から野田市の小学校に転校。11月、学校のアンケートに「お父さんからいじめを受けている」と回答した。柏児相は野田市から「父親から身体的虐待を受けている疑いがある」と連絡を受けて一時保護。心愛さんは保護前に市に対し「父に背中や首、顔をたたかれた。『てめえ、早く宿題やれ』と言われた」と話し、柏児相には「お母さんがいない時にたたかれる」「父が怖い」と打ち明け、頬にはたたかれたような痕があったという。

一時保護の期間中、父勇一郎容疑者(41)と母親(31)に8回面談したが、勇一郎容疑者は虐待を否定。心愛さんの恐怖心も徐々に薄れたため、「虐待は一時的なもので重篤ではなく、状況は改善した」と判断。親族の支援も得られるとして保護を12月27日に解除した。保護の緊急度を4段階で最も高いランクから2段階下げた。

心愛さんは解除後の18年1月、勇一郎容疑者の意向で野田市内の別の小学校に転校した。保護解除後は親族宅で生活し、同3月に自宅に戻った。

今年1月7日の始業式から学校を休んだ。小学校は勇一郎容疑者の「沖縄に行っている。2月から登校させる」との説明を受け、この間も自宅訪問していなかった。このころ、自宅アパート周辺では泣き叫ぶ声や「うるせえんだよ」「死ね」という怒鳴り声が聞かれていた。

県警は28日、司法解剖した。心愛さんの体の複数箇所に皮下出血や変色があった。しかし、致命傷になるような外傷や症状はなく「死因不祥」としている。