16年7月、趣味の自転車で走行中に転倒し、頸髄(けいずい)損傷で前回の衆院選に出馬しなかった自民党の谷垣禎一前幹事長(73)が10日、都内のホテルで開かれた自民党大会に登場した。自身の置かれた経緯をふまえ、来年の東京パラリンピックでの選手の奮闘に、強い期待を示した。

車いすに乗り、壇上に上がった谷垣氏。けがを負った当時かけていた眼鏡は外し、印象は変わったものの非常に元気な様子で、党員らに手を振った。

谷垣氏は「3年前の夏、不注意から大けがを負った。当時は幹事長の仕事を仰せつかっていたのに、突然仕事ができなくなり大変ご迷惑をおかけしたことを、まずおわびしたい」と陳謝。その上で「今楽しみにしているのは、来年の東京オリンピック・パラリンピック。なかんずく、パラリンピックです」と話し、「けがをするまでは、障がいに対して漠然とした意識しかなかったが、障がいは1人1人、抱えている課題が違うことを感じている」と述べた。

東京パラリンピックへの期待について「パラアスリートの方が、それぞれの課題をどう乗り越え、どう知恵を絞って大会に挑戦するか、ぜひ拝見したい。それが、私にも勇気を与えてくださると思う」と述べた。

昨今の政治情勢にも触れ、「世界のどこを見ても大きな変動に見舞われている。我が国はその中で新しい道を切り開かないといけない」と述べ、「新しい道を切り開くには、自民党が今までの経験と、国民の間にどれだけ根をおろせるかということにさらに精進し、安定した政治をつくることではないかと病床にありながらつくづく考えている毎日だ。安倍総裁、二階幹事長のもとで結集し、安定した政治をつくってほしい」と呼びかけた。

首相は、谷垣氏が退出後、スピーチに立った際「野党時代の3年3カ月。谷垣総裁のリーダーシップがあったからこそ我々は団結し、苦しい時を乗り越えて政権奪還することができた」と述べ、谷垣氏を拍手でたたえた。

谷垣氏はこれまでリハビリを続けていたが、昨年11月に官邸を訪問し、首相に面会。けが以降初めての公の場となった。最近は徐々に活動を再開している。