三陸鉄道リアス線が開通する23日、東日本大震災の津波で全壊した岩手・大槌駅の8年ぶりの開業と同時に、駅舎に飲食店が新規オープンする。昼はラーメン店「麺匠Tokishirazu(ときしらず)」、夜は居酒屋「Barしえるぶる」として営業する。

オーナーの菊池晃総(あきふさ)さん(39)は主に昼のラーメン店を担当する。大槌町発祥といわれる名物の新巻きザケからだしを取った「鮭だしラーメン」などを考案した。地元の友人らとラーメン研究会を設立してラーメン作りに励み、各地のイベントに参加。「駅に人が集まる店を」と、大槌町観光交流協会から相談されて出店を決意した。「ラーメンはファンがつくと各地から来てくれる。大槌の名物の1つになれば」と意気込む。04年に大槌町内で理容室を営む父親の跡を継いでおり、兼業となるため「Bar-」担当の前川さんが昼もサポートする。

震災時は理容室にいたが、すぐに消防団活動に従事し、行方不明者の捜索にも当たった。自宅兼店舗は全壊。仮店舗で営業していたが、今月中に新店舗での営業を開始予定で、多忙を極める。「ありがたいことに忙しくさせてもらっているので、考え込んで立ち止まっている時間はないですね」と前向きに話した。