東京都の小池百合子知事は19日の定例会見で、自民党の萩生田光一幹事長代行が18日のインターネット番組で、今年10月の消費税率10%引き上げに関し、景気次第で延期や、その場合の衆院解散の可能性に言及した問題について見解を問われ、「永田町的に言うと、観測気球を上げられたんだなという気がしている」との認識を示した。

萩生田氏は安倍晋三首相の側近。首相の意をくむなどして、アドバルーンをあげることで、内外の反応を確認する目的があったのではないかとの見方は、実際に永田町関係者の間でも広がっている。

小池氏は「国政のことは国において判断されるべき事項だ」としながらも、「一方で、菅義偉官房長官は、リーマン・ショック級のことが起きない限り(予定どおり)と言っている」と、首相周辺の発言のちぐはぐさに言及。「都の新年度予算は、それ(消費税増税)をベースにしている。10月からの(保育)無償化も入っている。もしそう(延期)になると、大ごとだ」と述べ、もし増税延期となった場合は、「さまざまな公共料金の関係もあり、かなり影響は大きい」と懸念を示した。

萩生田氏は18日の番組で「景気はちょっと落ちている。6月の企業短期経済観測調査(日銀短観)でこの先は危ないと見えてきたら、崖に向かってみんなを連れて行くわけにはいかない。違う展開はある」と発言。延期なら「国民の信を問うことになる」と、首相の専権事項である衆院解散にまで言及。衆参ダブル選挙については、6月下旬に大阪で開かれるG20首脳会合を理由に、困難との見方を示した。

萩生田氏がこのタイミングで、増税延期の可能性に触れた真意をめぐり、与党内でも批判が出ている。また野党は国会の予算委員会の開催を求めており、官邸方針との「不一致」発言を、追及する構えをみせている。