千葉県野田市立小4年の栗原心愛(みあ)さん(当時10)が1月に自宅浴室で死亡した虐待事件で、父勇一郎被告(41=傷害致死罪で起訴)の暴行を制止しなかったとして傷害ほう助罪に問われた母なぎさ被告(32)の初公判が16日、千葉地裁で開かれた。憔悴(しょうすい)しきった様子で、心愛さんについて聞かれた時、涙声になる場面もあった。起訴内容を「間違いありません」と認め、検察側は懲役2年を求刑。即日結審した。判決は6月26日。

なぎさ被告の母親が証人として出廷した。勇一郎被告と結婚し、心愛さんを出産後、なぎさ被告から「だんなに仕事を辞めさせられたり、携帯をチェックされたり、行動を監視されている」と聞かされたという。「娘と孫を守りたかったから」と、すぐになぎさ被告と心愛さんを沖縄の実家に連れて帰り、11年に離婚させた。なぎさ被告と心愛さんは仲良くハンバーグを作ったりしていたという。

なぎさ被告が勇一郎被告と再び会うようになり、再婚したが、勇一郎被告からは「自分たちの家族にかかわるな」と脅されたと述べ「最初はいい人かと思ったが、これが本性だと思いました」。なぎさ被告が沖縄の入院先から姿を消して以来、行き先も分からず、連絡を取らなかった。「連絡を取れば、勇一郎被告の暴力が強まると思ったから」と説明した。事件はニュースで知ったという。母親は供述調書で、なぎさ被告の性格を「マイペースでおとなしく、人の意見に合わせて行動しがちだった」と話した内容も明かされた。

母親の証言中、なぎさ被告は涙をぬぐったり、渡されたティッシュを両手で握りしめていたが、母親を直視することはなく、目を合わせることもなかった。