東京都の小池百合子知事は17日の会見で、戦争による北方領土の奪還論に言及した丸山穂高衆院議員(35)について「超弩(ど)級の発言。論外といわざるを得ない」と、厳しく批判した。今後の北方領土交渉に与える影響も懸念した。

丸山氏の発言は、国後島へのビザなし訪問団に参加していたさなかに飛び出した。国会議員時代に沖縄北方相を務め、ビザなし交流にも参加した経験がある小池氏は「元島民の方から、故郷への思いや(戦争で)島から逃げ出さざるを得なかった話を聴いた。ビザなし交流が行われるまでにも、いろんな苦労があった」と、指摘。丸山氏の発言は「これまで積み上げてきたものを、ちゃぶ台返しをするものだ」と批判。「(衆議院沖縄北方委員会の)委員を務める議員の発言としては、論外としかいいようがない」と、たしなめた。

一方で、北方領土の4島に関して19年度版の外交青書から、「日本固有の領土」という趣旨の部分が削除されたことについて異論を唱え、今後の日ロ交渉への影響を懸念した。

「基本的なコンセプトが抜けている。これまで少しでも(北方領土に)関わってきた身としては、このような書きぶりというのは、これまでと大きく異なるということだ。これによって、どういうことが実現するのか。削除してしまっていいのかという、問題意識を持っている」と指摘した。

その上で、「そこに加えて今回の(丸山氏の)発言だ。ロシアへの利を与えてしまうのではないかと懸念している」と指摘した。

丸山氏に対しては、野党が辞職勧告決議案の提出を検討しているが、小池氏は「議会が(国会議員を)辞めさせる効力はない。最終的には有権者が(選挙で)決めることだ」との認識を示した。【中山知子】