将棋の羽生善治九段(48)が通算勝利数単独トップの1434勝を目指す、第60期王位戦挑戦者決定リーグ白組プレーオフの永瀬拓矢叡王(26)戦が、4日午前10時から東京・千駄ケ谷「将棋会館」で始まった。

羽生は先月23日に行われた、同リーグ白組5回戦で谷川浩司九段(57)に勝利。デビュー以来の公式戦通算勝利数を1433勝とし、故大山康晴十五世名人の最多勝記録に肩を並べた。記録更新がかかった同月30日の第32期竜王戦1組3位決定戦では木村一基九段(45)に敗れ、持ち越しとなっていた。

対局前、入室してきた羽生は、「永瀬君、そちらに座って」と下座にいた永瀬を上座へと促した。羽生に対する尊敬から先に入室して着座していた永瀬だったが、「現役タイトル保持者が上座」というルール通りの着座となった。

振り駒の結果、と金が3枚出て、先手の羽生は先手2六歩と飛車先の歩を突き出した。対する永瀬は後手3四歩と角道を開けて、注目の一戦はスタートした。永瀬とはともにリーグ戦3勝1敗と、星が並んでいた。3月のリーグ直接対決、4月の竜王戦1組準決勝と羽生は連敗を喫している。通算最多勝利に立ちはだかる難敵だ。

今回の勝者は、同日同所で始まった紅組プレーオフの木村対菅井竜也七段(27)戦の勝者と、6日に将棋会館で挑戦者決定戦を行う。これに勝てば、豊島将之王位(名人・棋聖=29)への挑戦権を獲得する。

持ち時間は各4時間で、決着は同日夜の見込み。