日本囲碁史上最年少の10歳0カ月30日でプロになった、仲邑菫初段(10)が5日、名古屋市内の日本棋院中部総本部で、第23期ドコモ杯女流棋聖戦予選Aで、金賢貞(キム・ヒョンジョン)四段(40)と対局した。

仲邑初段は、紫と白のボーダーのシャツと、黒のスカート姿で対局室に姿を見せた。母・幸(みゆき)さんとともに下見すると、軽やかに外に出た。対局室には、7月8日に大阪市の日本棋院関西総本部で打たれた予選Bで、田中智恵子四段に146手で大逆転勝ちし、公式戦2戦目で、史上最年少の10歳4カ月で初勝利を挙げた際にも持参した、ピンクの水筒を持ち込んだ。仲邑初段は田中四段に勝ったことで、藤沢里菜女流4冠(女流本因坊・女流立葵杯・女流名人、扇興杯女流最強戦)が10年に記録した、プロ公式戦初勝利の最年少記録11歳8カ月を9年ぶりに大幅に更新。今回がプロ公式戦3戦目となる。

対局は午後2時半からスタートした。仲邑初段は本戦進出がかかる勝負の対局だからか、鋭く射抜くような険しい目線と表情で碁盤を見詰めた。ほほ笑んで対局室に入室した、ベテランの金四段とは対照的に、戦闘モードを全身からみなぎらせた。

現行の女流5棋戦における初対局時の最年少記録は、藤沢4冠が2012年5月24日に記録した、13歳8カ月。仲邑初段が金四段に勝てば、9月もしくは10月に行われる本戦への進出が決まる。10歳6カ月、もしくは7カ月で本戦初対局を迎えることになり、藤沢4冠の記録を3歳以上、下回る最年少記録を樹立することが決定的となる。【村上幸将】

◆ドコモ杯女流棋聖戦 今期の予選通過枠は14(日本棋院東京本院9、同関西・中部合同3、関西棋院2)。これにタイトルホルダーの藤沢4冠、万波奈穂扇興杯を加えた計16人で挑戦者決定トーナメントを行う。優勝者が挑戦権を獲得し、上野愛咲美女流棋聖とタイトル戦3番勝負を戦う。