日本囲碁史上最年少の10歳0カ月30日でプロになった、仲邑菫初段(10)が5日、名古屋市内の日本棋院中部総本部で打たれた、第23期ドコモ杯女流棋聖戦予選Aで、金賢貞(キム・ヒョンジョン)四段(40)との対局に勝ち、4月1日のプロ入りから公式戦3戦目、わずか4カ月4日で予選を突破し、本戦を決めた。

現行の女流5棋戦における、プロデビューから予選突破までの最年少記録は、、藤沢里菜女流4冠(女流本因坊・女流立葵杯・女流名人、扇興杯女流最強戦)がプロ入り翌年の12年3月8日の第31期女流本因坊戦予選で、青木喜久代八段に勝った際の13年5カ月だった。10歳5カ月の仲邑初段は記録を3年、更新した。

また女流5棋戦における、プロデビューから本戦に進出した日数の最短記録は、16年にプロ入りした上野愛咲美(あさみ)女流棋聖(18)が、プロ入りした16年8月29日に行われた同予選で青木八段に勝った時の4カ月28日で、仲邑初段は最短日数記録を更新した。 仲邑初段は、紫と白のボーダーのシャツと、黒のスカート姿で対局室に姿を見せた。母・幸(みゆき)さんとともに下見すると、軽やかに外に出た。対局室には、7月8日に大阪市の日本棋院関西総本部で打たれた予選Bで、田中智恵子四段に146手で大逆転勝ちし、公式戦2戦目で、史上最年少の10歳4カ月で初勝利を挙げた際にも持参した、ピンクの水筒を持ち込んだ。

対局は午後2時半からスタートした。仲邑初段は本戦進出がかかる勝負の対局だからか、鋭く射抜くような険しい目線と表情で碁盤を見詰めた。ほほ笑んで対局室に入室した、ベテランの金四段とは対照的に、戦闘モードを全身からみなぎらせた。午後4時40分過ぎに勝利が決まるスピード決着だったが、対局後の感想戦では静かに碁盤を見詰めていた。【村上幸将】

◆ドコモ杯女流棋聖戦 今期の予選通過枠は14(日本棋院東京本院9、同関西・中部合同3、関西棋院2)。これにタイトルホルダーの藤沢4冠、万波奈穂扇興杯を加えた計16人で挑戦者決定トーナメントを行う。優勝者が挑戦権を獲得し、上野愛咲美女流棋聖とタイトル戦3番勝負を戦う。