囲碁の最年少プロ、仲邑菫(なかむら・すみれ)初段(10)が25日、広島市内で開催された「日本棋院広島本部創立40周年記念イベント」に参加し、タイトルホルダー藤沢里菜女流4冠(20=女流本因坊・女流立葵杯・女流名人・扇興杯)との記念公開対局に臨んだ。女流最強棋士を相手に仲邑は攻め込んだが、最後は実力の差を見せつけられ、黒番の藤沢が187手で中押し勝ちした。

手合は互角で、先手後手番を決める「ニギリ」の結果、仲邑は後手番。天才少女と言われる仲邑と女流最強棋士の“ガチ対決”だった。序盤は仲邑がノビノビと打ち、練習碁を含めて初対局となった藤沢は「序盤は、けっこう押されていて、(形勢が)悪いなと思っていた」と振り返ったほどだった。

対局後、仲邑は「強かった」と一言。対局後、約5分間の“クールダウン”を終え、インタビューでは「あこがれの藤沢里菜4冠と指すことができてうれしかった」。晴れやかな笑顔ではっきりと気持ちを表した。

藤沢は現在、5つある女流タイトルのうち4冠を保持する女流トップ。今年4月、仲邑が「英才特別推薦棋士」の適用で10歳0カ月でプロ入りするまで藤沢の11歳6カ月が最年少記録だった。この日の実践を通して藤沢は「これまで棋譜を見て強いのは知っていた。きょうあらためて強さが分かった。最後まで難しい戦いでした」と振り返り、「10歳なのに集中力、形勢判断力、碁盤の全体をみている」と驚いた。

記念公開対局の解説を務めた井山裕太4冠(30)は「数年後、タイトル戦で対局しているだろう2人です。すごく楽しみです」と予告した注目のカードだった。

今後の目標を聞かれた仲邑は「女流タイトル」とはっきりした声で答えた。将来は“最強のライバル”になることを感じた藤沢は「私の10歳のときに比べ、ケタ違いに強い。タイトル戦で数年後ではなく、数カ月後にはあるかもしれない」と話した。