安倍晋三首相は10日、内閣改造で自民党の小泉進次郎厚労部会長(38)を環境相として初入閣させる方針を固めた。

38歳の初入閣は男性では史上最年少で、父小泉純一郎元首相の46歳より早い。年明けの第1子誕生後に育児休暇取得の意向を示し、入閣は見送りとみられたが、サプライズの抜てき。進次郎氏の発信力や「育休大臣」のアピールに期待がかかるほか、改造内閣に居並ぶ首相の「お友達」色を薄めるねらいもある。入閣する19人の全容は、ほぼ確定。第4次安倍再改造内閣は11日、発足する。

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予想を覆し、進次郎氏のサプライズ初入閣が決まった。戦後最年少34歳の小渕優子氏、37歳の野田聖子氏に続く、戦後3番目の若さ。男性では、田中角栄元首相、かつての「自民党のプリンス」船田元衆院議員の39歳を上回る、史上最年少。46歳で竹下改造内閣の厚生相(当時)に初入閣した父純一郎氏より、早い。

内閣府政務官は経験したが、副大臣を経ずに大臣へ。環境相は過去に小池百合子都知事が務め、石原慎太郎氏も環境庁長官を担当。環境政策は国際的課題も多く、原発問題など繊細な課題にも関わるため、手腕が試される。

進次郎氏は8月7日、タレント滝川クリステル(41)との電撃婚、来年1月の第1子誕生を発表した。同31日には、第1子誕生後の育休取得プランを明かし、「小泉進次郎の育休とは何が良い形か。アイデアを聴きたい」と話した。閣僚は多忙で、育休との両立は難しい。過去2度の自民党総裁選で石破茂氏に投票するなど首相と距離を置き、「首相への登竜門」とされる官房副長官への打診も断った。そんな経緯から、育休宣言は、事実上の「入閣固辞宣言」とみられていた。

一方で「自分の思いがどうこうではなく、最後に決めるのは総理」とも回答。以前、入閣の質問を明確に否定した姿とは異なり、「今回打診されたら断れないと思っていたはず」(関係者)。結婚をまず報告した菅義偉官房長官は8月発売の月刊誌で、進次郎氏の初入閣を支持。菅氏の後押しが影響した可能性もある。

進次郎氏の父純一郎氏に抜てきされた首相は、「ポスト安倍」有力候補の進次郎氏にも、経験を積ませる意向とみられる。今回の改造内閣は、首相の「お友達」ばかりで清新さは皆無。進次郎氏の存在は「お友達度」を薄めるメリットもある。一方、進次郎氏は昨年のニュージーランド訪問で、産休を取った女性のアーダーン首相と面会。子育てにかかわるリーダーと向き合った。永田町では、結婚に伴う「ご祝儀入閣」とやっかみも出ているが、育休大臣として「永田町の常識」を覆す可能性もある。

4月の日刊スポーツのインタビューには「変化や改革にしか興味がない」と、刷新に意欲を示した。役人を率いる大臣としての力量は未知数だが、将来の「首相への道」には、新たな1歩となる。【中山知子】