23日午前0時40分ごろ、茨城県境町若林の会社員小林光則さん(48)宅から、妻のパート従業員美和さん(50)とみられる女性の声で「助けて」と110番通報があった。

茨城県警境署員らが駆け付け、2階の寝室で小林さんと美和さんが首などから血を流して死亡しているのを発見した。中学1年の長男(13)と小学6年の次女(11)も負傷し、搬送された。1階にいた大学3年の長女(21)にけがはなかった。県警は殺人・殺人未遂事件と断定。境署に捜査本部を設置した。

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捜査本部によると、小林さんは子ども3人と夫婦の5人家族。殺害されたとみられる夫妻は2階におり、2階の「子ども部屋」の2段ベッドで寝ていた長男は重傷を負い、次女は「両手の痛み」程度の軽傷を負った。次女はスプレーのようなものをかけられたと話しているという。長男と次女は命に別条はない。1階の自室にいた長女にけがはなく、「物音やサイレンの音で気付いた」と話しているという。

捜査本部は何者かが外部から侵入し、犯行に及んだとみて調べている。小林さん宅には、無施錠の出入り口が数カ所あったという。

小林さん宅の周囲は木が生い茂っており、周辺の車道からは家の建物はほとんど見えない。南側には川が流れており、北側には縦300メートル、横100メートルほどのフナの釣り堀があり、隣接する住宅などはない。近隣に街灯もなく、日が暮れるとあたりは真っ暗になる。

近くに住む住民によると、事件のあった家は元々は美和さんの実家だという。美和さんの父が死去し、美和さんの母が1人暮らしになった約15年ほど前から、小林さん一家が帰ってくる形で暮らすようになったという。住民は「あいさつ程度の関係で、詳しいことはわからないが、家族間のトラブルなどは聞いたことがない」と話した。近隣住民は近隣で起きた凄惨な事件に、「怖い。こんなに近いんだから」と不安を隠せない様子で話した。【佐藤成】