将棋の最年少プロ、藤井聡太七段(17)が27日、大阪市の関西将棋会館で指された第61期王位戦予選7組決勝で前王座の斎藤慎太郎七段(26)を破り、初の王位戦挑戦者決定リーグ入りを決めた。年内最後の対局を白星で飾り、2020年は最年少タイトル挑戦、奪取を目指す。

過去2戦2敗の難敵に、切れ味鋭く攻撃し、リードを広げた。最後は持ち前の終盤力で押し切った藤井は「難しい将棋でした。途中から自信がない展開が続いた」と振り返った。王位戦リーグは12人が紅白2組に分かれて戦い、優勝者同士が木村一基王位(46)への挑戦権をかけて戦う。「リーグ入りを1つの目標にしてきたので達成できてよかった」と満足そうに話した。

着実に成長を遂げた1年だった。2月、朝日杯オープン戦では、羽生善治九段(49)に次いで同棋戦史上2人目の2連覇を果たした。9月に開幕した第69期王将戦の挑戦者決定リーグでは、最終戦で広瀬章人八段(32)との首位決戦に敗れたが、最年少タイトル挑戦にあと1歩に迫った。

トッププロを相手にリーグ戦の最終成績を4勝2敗とし、来期のリーグ残留を決めたのは大きな収穫だった。この日の対局では、時間配分など成長ぶりも見せた。

飛躍の1年を振り返り「タイトル挑戦には届かなかったが、トップ棋士と対戦できていい経験ができた。この経験を来年につなげられたらと思う」。来年の最大の目標はタイトル挑戦だ。最年少記録もかかる。屋敷伸之九段が1989年に作ったタイトル挑戦記録は17歳10カ月。来年6月上旬に開幕予定の棋聖戦が、藤井のラストチャンスとなる。タイトル挑戦は最年少記録とともに狙う。【松浦隆司】