西武グループが運営する遊園地「としまえん」(東京・練馬区)が3日、段階的な閉園を検討し、約1世紀にわたる歴史に幕を閉じるとともに、跡地の一部に小説や映画で世界的人気の「ハリー・ポッター」のテーマパークを2023年春にもオープンさせる計画が明らかになった。

跡地予定の総敷地面積は約20ヘクタール(東京ドーム約4・3個分)で、大半は東京都が買収し、避難場所など防災機能のある都立「練馬城址(じょうし)公園」として整備する方針だ。米映画大手のワーナー・ブラザースが、その一部を借りて「ハリー・ポッター」のテーマパークを建設する交渉が進んでおり、今春にも正式決定が見込まれている。

「としまえん」は1926年(大15)開園の歴史と都心に近い遊園地として7つのプールやアトラクション、温泉などを備え、練馬区の成人式会場になっている。近年は老朽化が進み、92年度に400万人を超えた入園者が2018年度112万人と苦戦していた。

14年に大阪市のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)が約450億円を投じ、「ハリー・ポッター」の世界を体験できる新エリアをオープンして人気を集め、14年度の入場者数は約1270万人と、前年度を200万人上回った。

映画のセットを再現するプランが有力で「ハリポタ」の世界が楽しめる新テーマパークが誕生すれば、国内だけではなく海外からも多くの集客が見込める観光の目玉となりそうだ。

◆としまえん 西武グループが保有・運営している遊園地で1926年(大15)9月に開園した。プールやアトラクション、クアハウス、運動場などを備えている。07年(明40)にドイツで製造された回転木馬「カルーセルエルドラド」は日本機械学会の「機械遺産」に認定されている。従業員数128人(2019年4月1日時点)。東京都練馬区向山3-25-1。

◆ハリー・ポッター 英国の子ども向けファンタジー小説「ハリー・ポッターと賢者の石」(J・K・ローリング著)として1997年に発刊された。魔法使いの少年ハリー・ポッターの学園生活や邪悪な魔法使いとの対決などが描かれ、日本では99年に翻訳版が出版された。子どもだけではなく、大人にも愛読され、世界的なベストセラーとなり、社会現象にもなった。小説はシリーズ化され、映画も大ヒットした。