安倍晋三首相が12日の衆院予算委員会集中審議で、立憲民主党の辻元清美議員が質問を終えて退席しようとした際に、「意味のない質問だ」と自席からやじを飛ばし、辻元氏が「誰が言ったの」と激怒、委員会審議が止まり、大紛糾する事態となった。

辻元氏はこの直前、「鯛(たい)は頭から腐る」ということわざを引き合いに「ここまで来たら、頭を替えるしかない」と、首相の対応を批判した。和泉洋人首相補佐官と厚労省の大坪寛子審議官による海外出張先での「コネクティングルーム宿泊」問題について、2人にけじめをつけさせるよう求めたのに対し、首相が「知らなかった」と述べ、答弁を菅義偉官房長官に任せるなどの対応が続いた末の、発言だった。

辻元氏は「総理がけじめをつけるといえば、ここまで言うつもりはなかった」と言い残して席を立ったが、この直後に「意味のない質問」という首相の声が聞こえた。辻元氏は質問席の近くに戻って、首相や閣僚席の方向をにらみつけた。野党側の理事が抗議して審議が一時ストップしたが、棚橋委員長は「私は聞いておりません」と主張し、質疑を止めようとはしなかった。

この後、質問に立った逢坂誠二議員が、首相にことの真意をただすと、首相は発言したことを認めた。「最後のところで、(辻元氏の発言は)罵詈(ばり)雑言の連続だった。政策にもかかわりのない内容だった。私に反論する機会がないまま質問を繰り返し、終えられたので、こういうやりとりは無意味だと。当然そう思うじゃないですか」と、持論を展開。「ここは質疑の場で、一方的にののしる場ではない。それでは質疑が無意味になると思い、無意味じゃないかと申し上げた」と釈明した。

これに対し、逢坂氏は「辻元さんの言ったことは当たっている、総理がでたらめなことをするから、国全体におかしなことが広がっている」と述べ、辻元氏に代わって批判した。

首相は昨年11月の衆参両院予算委員会でも、質問者を指さしてやじを飛ばし、総理大臣の対応として、疑問符が投げかけられた。