新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、いまだに感染者の確認がゼロの鳥取県の感染防止への取り組みが話題になっている。

鳥取県庁では、コロナ対策と銘打って段ボールを用いた“鳥取型オフィスシステム”が導入された。お金をかけずに「密閉」「密集」「密接」の3つの密を減らすユニークな対策の効果はいかに。また、オフィスでできるコロナ対策を聖路加国際大学大学院の大西一成准教授に聞いた。

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聖路加国際大学大学院の大西一成准教授は鳥取県庁の対策に「物理的距離や物理的バリアーに意識が高まっていくこと自体は、感染を防ぐ意味で良いことだと思います。本来、対面式でマスクなどに付く飛沫(ひまつ)や、会話で飛ぶつばなどを防ぐ効果があると考えられます」と分析した。

一方で、注意点もあるという。コロナウイルスの主な感染経路は、飛沫感染と接触感染とされており、ウイルスの特徴は「非常に小さく、くしゃみをした場合、空気中に浮遊する時間が長く、寿命がとても長い」と指摘。その上で、この対策について「過信は危険」と警鐘を鳴らす。大西氏は「バリアーがあるからといってマスクをしなければ、空気中に浮遊しているウイルスを取り込むことがある」とし、さらに「マスクを抜けて付いた飛沫が、段ボールに長い間付着し、感染源にもなり得る。小まめに手袋をし、エタノールで消毒する必要がある」と注意点を挙げた。

一般のオフィスでできる対策も聞いた。大西氏は「本来は顔との密着性がより高い防じんマスクを推奨します」としたが、マスク不足の今できる対策として「共有物にはゴム手袋を使い、人的接触距離の確保が重要」とアドバイスした。飛沫は2~3メートルほど飛ぶとされており「十分な換気と、対面を避け、2メートル以上の距離を取り、マスクや手洗いとの組み合わせが大切」と話した。