新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、さまざまな情報が流れています。ニッカンスポーツ・コムで募集している質問や疑問に、感染症の専門医であるKARADA内科クリニックの佐藤昭裕院長が答えてくれました。



Q 完治したとされた人で再発する人もいるようですが、1度感染したら、体内にウイルスが残り続けるということなのですか(北海道・50代男性)


A 体内に残るウイルスが再活性化も

再発した理由は3つの場合が考えられています。まず1つは、純粋な再感染です。また感染してしまったという場合です。2つ目は、最初の検査が偽陰性で、本当は陽性なのに検査で引っ掛からず、2回目に検査をしたら陽性と判明した場合です。最後は、ウイルスの再活性化です。ウイルスが、1回おさまったのですが、疲れなどでまた免疫状態が悪くなってしまって、ウイルスが力を戻してきたというケースです。体内にウイルスが残っていて、寝不足などで免疫力が低下したことなどによって、またウイルスが力を戻してきたということです。



Q 感染すると、味覚障害や嗅覚障害が起きるとのことですが、それは「まったく感じなくなる」ということなのでしょうか。それとも「何となく薄く感じる」くらいなのでしょうか(徳島県・40代男性)


A 味覚、嗅覚障害には個人差あり

これは、人によって違うというのが正直なところです。まったく感じなくなるという人もいれば、食事が何となくおいしく感じられなくなるという人もいます。これは、味は感じるのですが、違和感があるというもの。個人差があります。嗅覚も、鼻が別段つまっているわけでもないのに、においを感じなくなるという場合は、感染を疑うというのは妥当だと思います。



Q ネットショッピングを利用する場合、万が一、梱包(こんぽう)や配達の際に、ダンボールにウイルスが付着し、そのまま受け取ってしまうと、感染リスクは高いのでしょうか(大分県・20代女性)


A 到着荷物は1~2日置いておく手も

ダンボールの場合、表面に24時間は付着することが分かっていますから、ものすごく慎重に対応する場合は、すぐに開封しないで、1~2日間、置いておくことも1つの手です。あとは、普通に手で開けて、中身を出して、ダンボールはすぐに捨ててしまい、早めにしっかり手を洗えば、問題ないです。



Q タバコの煙で感染はするのでしょうか(東京都・50代男性)


A 煙で感染しないが、飛沫は注意

タバコの煙は、副流煙(タバコの先から出る煙)も含めて感染はしません。ただ、注意しなければいけないのは、喫煙所などで、タバコを吸いながら、近い距離で話したりすると、飛沫で感染するリスクはあります。そのような場所でタバコを吸う場合は、距離を空けたほうがいいと思います。


Q 喫煙所は屋外なら感染するリスクは高くないのでしょうか((神奈川県・20代男性)


A 屋外喫煙は距離を空けて

室内の喫煙所の場合は、いわゆる「3密」(密閉空間、密集場所、密接場面)ですから、感染のリスクは当然高くなりますが、屋外の喫煙所の場合は、近くで話したりしなければ、リスクはそれほど高くないと思います。とはいえ、距離をしっかり空けることは意識したほうがいいと思います。


Q 通常の洗濯でウイルスの除去はできているのでしょうか(愛知県・40代女性)


A 乾燥機が熱消毒になる

しっかりと水と普通の洗剤で洗い流していただければ、普通の洗濯で大丈夫です。新型コロナウイルスは、熱にそれほど強くないと分かってきていますから、乾燥機の使用もおすすめします。乾燥機の使用で温度が上がることで、熱消毒のような形になりますので、効果的だと思います。


Q 目の粘膜からも感染すると聞きました。目を洗う方法などを教えて下さい(東京都・50代男性)


A ウイルス吸収まで20分

目からも感染します。目を洗う場合は、普通に水道水で流していただいて大丈夫です。ウイルスが目や鼻などの粘膜に付着して細胞内に吸収されるまで約20分と言われています。ですから、指などが触れて気になる場合は、なるべく早く洗うことが大切だと思います。


Q 手洗いなどをする際、アルコール消毒と次亜塩素酸水と、どちらが有効でしょうか。どちらも入手できない時、ハンドソープを使った手洗いは、どれほど効き目があるのでしょうか(東京都・50代男性)


A ハンドソープで十分効果

結論から言いますと、ハンドソープを使った手洗いで、十分な効果があります。次亜塩素酸製剤については様々な種類があるので、注意が必要です。家庭用塩素系漂白剤は次亜塩素酸ナトリウムですので、これを手洗いに利用するのは、手が荒れますのでやめた方が良いです。アルコール消毒剤は、石けんや流水の環境がないような場所、外出先などで使うケースが多いと思いますが、非常に効果的だと思います。


Q 最近は電車に乗ると、窓が開けられ、乗客のほぼ全員がマスクをしています。そうした状況であれば、感染のリスクは低いと思っていていいのでしょうか(東京都・50代男性)


A 電車では接触感染に注意

飛沫(ひまつ)感染という観点から言えば、かなりリスクは低いと思います。ただし、接触感染という点からみれば、リスクはあります。車内の手すりやつり革、ドアなどを触らないことが重要です。とはいえ、電車やバスは揺れますので、転倒のリスクもありますから、もし手すりやつり革などを触ってしまった場合は、その手は不潔だと思っていただいて、自分の顔などに絶対に触らないように注意を払い、降りたらすぐに手を洗ってください。


Q コロナウイルスは、プラスチックや木製の板、紙、衣服などの表面でどれぐらいの間、生存しているのでしょうか?(東京都・50代男性)


A ウイルスはプラスチック上で2~3日生存

まだ研究が始まったばかりですが、現在までに出ているデータでは、ダンボールの表面で24時間、プラスチックやステンレスの表面では2~3日(48~72時間)は生存するようです。それ以外の素材などは、まだデータがあまり出てきていません。洋服などの場合、どれぐらい生存しているのか、あまりよく分かっていません。ただ、先ほどのデータを参考にしますと、日常生活では、テーブル、電車の中ではつり革や手すり、ドアノブやエスカレーターの手すり、エレベーターのボタンなど、不特定多数の人が触れる可能性があるものには、なるべく触らないようにして下さい。仮に触れてしまった場合は、なるべく早く手洗いを行って下さい。


Q 感染していない人が、ドアノブなどに触れてウイルスが付着した後、他のものに触れて、また別の人がそこを触ってしまうと、感染のリスクはあるのでしょうか(埼玉県・60代男性)


A 目や口に触れると感染する

ウイルスが付着したものに触っただけで、感染したというわけではありません。触ってしまった手で、目や口などの粘膜に触れてしまうことで、感染を起こしていくのです。ですから、たとえウイルスが手に付いたとしても、ハンドソープやアルコール製剤などで洗い流せば、感染を予防することができます。こまめな手洗いが本当に大切なのです。


Q 同じ濃厚接触者なのに、陽性の人、陰性の人がいるのは、どのような違いがあるのですか。もともと持っている免疫力や体質の違いなのでしょうか。(静岡県・50代男性)


A ウイルスが体に入ったかどうか

同じ濃厚接触の中での陽性、陰性の違いは、ウイルスが実際に体の中に入ってしまったのか、入っていないかの違いなのです。例えば、近くで話していた人の飛沫がたまたま自分の口に入ってしまった、目に入ってしまったということがあれば、感染しますし、くしゃみや咳などで手を押さえて、その手で触れたテーブルなどに、濃厚接触者がそれを知らないで触れてしまい、その手で目や口に触ってしまって感染したりします。陽性、陰性の違いに、免疫力がある程度、関与しているとは思いますが、分かりやすく言えば、ウイルスが入ったか、入っていないかの違いなのです。


Q 手洗いは、ただの水だけではダメですか?石鹸を使わないとダメでしょうか?(東京都・50代男性)


A ハンドソープでしっかりと

水だけでの手洗いでは、汚れやウイルスがしっかりと落ちません。外出先などでは、できれば、石鹼よりも、ハンドソープを使っていただきたいですね。石鹼は、不特定多数の人が触りますので、そういうものは避けたほうがいいと思います。ただの水だけよりも、ハンドソープの中には、界面活性剤が入っていますので、汚れが落ちやすいんです。ですから、ハンドソープをお使いになったほうがいいです。泡立てて、しっかりと手をこすることが大切です。爪や指先、手首などをしっかりこすって洗ってください。


Q スポーツジムでの感染例がありますが、感染した人の汗から感染することはあるのでしょうか。(東京都・男性50代)


A 汗にウイルスはいない

汗自体には、感染性はないと思います。エボラ出血熱の時は、汗の中にもウイルスが出ると分かったのですが、基本的にHIVやインフルエンザなどの感染症は、汗というのは含まないのです。新型コロナウイルスでも、汗による感染の報告例はありません。汗は皮膚の汗腺から出てくるわけですが、そこにウイルスがいるという訳ではありません。ウイルスは汗腺からは出ません。ジムで感染のリスクが高まるのは、汗ではなく、トレーニング器具などを介した接触や、近い距離で話したりすることなどが挙げられます。


Q 公衆トイレでウォシュレットを使うのは、感染リスク高いですか?(山口県・40代男性)


A 公衆トイレは避けた方が

今のところ、ウォシュレットを介して感染したという報告はないです。ただ、便の中にウイルスが出ているのは間違いなさそうなのです。ですから、理論上は感染する可能性はあると言えます。しかし、今はまだ証明はされていませんが、可能性は全て潰したほうがいいので、公衆トイレなどで使うのはやめたほうがいいかも知れません。もっと言えば、外出先であまりトイレを使わないほうがいいぐらいの認識でいたほうがいいかも知れません。