コロナ禍で外出制限やテレワークの日々を送るなど、苦難の日々が続いています。プロ野球やJリーグなど各種スポーツ、芸能イベントも開催できない状況です。日刊スポーツでは心温まる、ホッとひと息つける「ホッコリ ニッカン」面を新設しました。「日本の色」と題して、鮮やかな写真とともにお届けします。

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愛媛県新居浜市の山あいを車で走ると、朝日を浴びた新緑が目に入り、停車させた。春の寒暖差で、まだ冷たい朝の空気が心地よく感じ、深呼吸すると、「ホーホケキョ」とさえずる声が聞こえた。思わずカメラを手にし、美しい音色を頼りに姿を探した。警戒心が強い「ウグイス」はあまり人前に姿を現すことはなく、何とかカメラのファインダー越しに見つけたが、シャッター音に反応し、一瞬で飛び去ってしまった。さえずるのは縄張りをつくり、見張っているオスで、メスに「危険なし」の合図を送っているという。

JIS慣用色名で定められている「ウグイス色」は、羽の茶と黒の混ざったような緑色。だが、花札の「梅にウグイス」の札に描かれている鳥の絵が「メジロ」に近い黄緑色であることで、「メジロ」を「ウグイス」と勘違いすることも多く、「ウグイス色」を鮮やかな黄緑色と指すこともある。

数十分後、再び撮影のチャンスが訪れた。うまく「ウグイス」が撮れたと思って、画面で確認すると目の周りが白い。「メジロ」だ。「チーチー」という鳴き声も美しい音色だった。【江口和貴】

<撮影データ>4月10日午後0時15分撮影 キヤノン「EOS 1DX Mark2」 100-400ミリ(焦点距離255ミリ) ISO感度800 シャッタースピード2500分の1 絞り8