★前首相・石破茂は24年10月の首相就任会見で「日米地位協定を改定していくことが日米同盟の強化につながる」と言ったきり、日米首脳会談の話題にもならなかった。その石破が今になって超党派の地位協定の議員連盟を立ち上げるという。自民党内には幾度となく地位協定改定の議連が立ち上がったものの霧散してきた経緯がある。一方、昨年6月には立憲民主党も日米地位協定研究会の勉強会を開き、40人程度が参加したが、先の総選挙でこちらも霧散している。さて石破の議連は党内から前外相・岩屋毅、前防衛相・中谷元ら石破政権の閣僚の参加が見込まれるというが、自民党の米国からの自主独立を掲げる右派はさることながら、新しい日米関係を再構築すべきとする党内穏健保守を巻き込めるかも焦点だ。加えて沖縄県を軸に全国の米軍基地を抱える各県選出の与野党議員や、地位協定の存在に苦しめられていることを改善したいとするリベラル層にも共感を呼ぶはずだ。

★だが現実に地位協定改定は可能なのか。問題点や課題は数多くある。日米の国家主権と人権の衝突、国家の安全保障と事件・事故による人間の安全保障の問題が大きい。非公開が前提の日米合同委員会などの権限も不明。しかし実態は日米の国家対沖縄県や県民の戦いの構図。片務的な協定の改定は必要だが、地位協定の上には日米安保条約と在日米軍基地と国連軍の地位協定という2つのハードルが待ち受ける。外交・防衛の要ながら今まで日本政府が避け続けてきたテーマだ。09年に鳩山内閣が着手したものの失敗。その後の内閣は怖気づき、まして自民党は日米関係最優先で国民の思いや生活を後回しに、または沖縄県民に押し付けてきた歴史がある。中道改革連合も辺野古容認で沖縄を切り捨てた。政界関係者が言う。「この議連の目的はもう少し上の大きい規模を見ているのではないか。怪しげな米国一辺倒の自民党国力研究会に対抗する陣営作りだ。党内外の穏健保守、リベラル勢力の結集が目的だろう。そうしない限り新たな日米関係も周辺国との関係も改善しない。心配なのは石破が理屈でこねくり回して台無しにする心配だ」。(K)※敬称略