コロナ禍で外出制限やテレワークの日々を送るなど、苦難の日々が続いています。プロ野球やJリーグなど各種スポーツ、芸能イベントも開催できない状況です。日刊スポーツでは心温まる、ホッとひと息つける「ホッコリ ニッカン」面を新設しました。「日本の色」と題して、鮮やかな写真とともにお届けします。

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神奈川県川崎市の自然林に囲まれた歩道を歩くと、竹林が春の日差しを浴び柔らかに輝いていた。「竹取物語」のかぐや姫を思い出すと、土の中から顔を出した「タケノコ」が目に入った。

タケノコは竹の地下茎の節から出る若芽。読んで字のごとく「竹の子」である。1日で数十センチ伸びるほど成長が早く、漢字の「筍」の由来は、一旬(10日間)で竹になるからだという。春によく目にする円すい形のタケノコは、日本の竹林に多い「モウソウチク」という種類。春の食材を代表する味覚の王者といわれる。

川崎市で、副業で農業を営む男性(69)は「朝6時から掘った。いわゆる朝採り。多いときは100キロ近く掘るよ」と、4・5キロ以上あるタケノコの重さを量りながら話してくれた。鮮度が命。時間がたつと、えぐみが増す。「例年、採ると(直売所で)すぐ売り切れる。今年のお客さんは少ないね」とコロナ禍の影響がタケノコにも。選び方、ゆで方、食べ方を丁寧に教えてくれた。穂先は黄色が良い。緑色は日に当たった証拠で、えぐみが強くなる。天ぷらがおすすめ。

うまみ成分であるアミノ酸が含まれ、疲労回復にもいい。食物繊維の塊で、カリウムも豊富に含む。だが、アクが強いので、食べ過ぎにはご注意を。【江口和貴】

<撮影データ>4月14日午前9時38分撮影 ソニー「α9II」 70-200ミリ(焦点距離154ミリ)ISO感度1600 シャッタースピード250分の1 絞り22