コロナ禍で外出制限やテレワークの日々を送るなど、苦難の日々が続いています。プロ野球やJリーグなどスポーツ各種、芸能イベントは開催できない状況です。暗いニュースがあふれる中で心温まる、ホッと一息つける「ホッコリニッカン」面を新設しました。「日本の色」として、鮮やかな写真とともにお届けします。

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北海道函館市にある五稜郭は江戸時代末期に箱館奉行所の移転先として築造された星形の城郭だ。箱館戦争では旧幕府軍に占領され、その後、陸軍省の練兵場としての利用も経て、現在の五稜郭公園となった。

そんな五稜郭を囲うようにしてソメイヨシノやヤエザクラなどが植えられており、その数は約1600本にもなる。桜の時期となる4月末から5月上旬にかけては毎年多くの花見客で公園内はあふれる。しかし今年は4月29日に閉鎖を決めた。そんな中、おうちで桜を楽しんでもらおうと公園同様に閉館中の五稜郭タワーに撮影許可をもらった。さてどのように撮ろうか窓から見下ろす。当たり前だが、五稜郭の中に人影はない。隣にいた関係者の方がぽつりと「(日中に)1人もいないのって150年で初めてかもしれませんね」とつぶやいた。幾多の歴史を乗り越えてきた五稜郭にあって初めてかもしれない光景が目の前に広がっていた。

今回、撮影日直前の天候が悪く4割ほどの開花でお届けすることとなった。これでも十分きれいだと思いますが、ぜひこの桜に皆さんで色を足して満開にしてみて下さい。そして来年以降、ぜひ本物の満開を函館でご確認下さい。【河野匠】

<撮影データ>4月30日午前9時48分 キヤノン「EOS-1DX Mark2」 8-15ミリフィッシュアイ(焦点距離15ミリ) ISO感度100 シャッタースピード125分の1秒 絞り5.6