大阪府は16日、新型コロナウイルス特別措置法に基づく休業要請などを部分的に解除する独自基準「大阪モデル」をクリアしたことを受け、感染リスクが低い施設を対象に休業要請を解除した。日本一長い商店街として知られ飲食店からパチンコ店まで多業種がそろう天神橋筋商店街(大阪市北区)では買い物客らで人があふれた。「密」状態に戸惑いや不安の声も聞かれた。緊急事態宣言が解除され最初の週末を迎えた39県も人の流れが戻ってきた。

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全長2・6キロの通りに約600店舗がひしめく天神橋筋商店街。飲食店、パチンコ店、理髪店…。先週までは、通りの両側に並ぶ飲食店のシャッターに臨時休業を知らせる張り紙が目立っていた。吉村洋文知事が「大阪モデル」のもとに解除を判断したことを受け、この日は同商店街の9割以上の店舗が営業を再開した。

前夜から雨が降り続いた大阪。同商店街の近くに住む会社員の男性(37)は「久しぶりに家族と外食をしようと来た。アーケードがあるほうが助かる」と話した。居酒屋を経営する40代の男性は「数日前までは商店街のずっと遠くまで見えたけど、きょうはまったく見えない。3密は大丈夫かな」と不安そうに話した。大阪では午後になっても、雨が降ったりやんだりでアーケードのない繁華街への出足は鈍かったが、商店街などには多くの人が集まった。友人と大阪・ミナミの戎橋筋商店街を訪れた女性(24)は「私もこうやってきているので人のことは言えないけど、気が緩んでいるかも」と苦笑い。衣料品店の20代の女性店員は「ちょっと怖いかも…」と心配した。

一方、大阪の道頓堀周辺は人通りはまばら。それでもお好み焼き店、たこ焼き店、串カツ店などが久々に開店。「串かつだるま 道頓堀店」では独自ルール「ソースの2度漬け禁止」の共有ソースを変更し、個別ソースを準備した。同店の中島隆晴店長(36)は「新スタイルで一からスタートです」と前を向いた。【松浦隆司】