東京のシンボルが復活した。「東京タワー」は28日、4月8日の休業から約1カ月半ぶりに、展望台の営業を再開した。午前9時の営業開始前に、約20人が行列をつくり、多くの人が3密を避けながら、高さ150メートルの「メインデッキ」に向け、汗を流しながら約600段の外階段を上がった。この日、1日限定で東京観光復活の願いを込め、8色に輝く「希望の光」のライトアップも行った。

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入社2年目、24歳。20年間続けた競泳で鍛錬した筋肉と、プライドを胸に「元アスリートだから余裕だろ」と、約600段の外階段で上りはじめたが、「もう少しでゴールか」と顔を上げると、そこはまだ200段地点だった。絶望感さえ抱いたが、真下に広がる絶景が一瞬にしてそれを忘れさせた。「こんなに緑が多かったのか」。普段なら気付かない発見だ。階段を上れば上るほど強くなる風。開放感がたまらない。

上りきる平均タイムは12~13分だという。感染防止策を取りながら楽しむ人たちを見て「少しずつ日常が戻ってきた」と感じるうれしさをかみしめ、眼下に広がる景色に目を奪われながら18分44秒かけ600段を上りきった。大量の汗をかいたが、それ以上の達成感を味わうことができた。上り始める前の謎の自信は何だったのだろう、帰路では誰かにずっと「膝かっくん」をされているような歩き方をしていた。【佐藤勝亮】