梅雨空のもと、19日、約3カ月遅れてようやく開幕した「球春」。各地の試合は、新型コロナウイルス対策のため無観客で行われたが、開幕を待ちわびた全国のプロ野球ファンたちが、熱い声援を送った。それでも「密」の応援は回避するなど、新型コロナ感染防止に配慮。「新しい日常」下での新たなプロ野球観戦スタイルも、本格的に始まった。

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約3カ月遅れで、東京・内神田の「ベースボール居酒屋 リリーズ神田スタジアム」にも、“球春”が訪れた。オーナーの高橋雅光さん(42)は「今季はもしかしたら(プロ野球の開催が)難しいのかもしれないとも思っていたので、一言うれしいです」と、訪れた野球ファンをもてなした。

野球グッズがところ狭しと1万点以上飾られている同店は、4月6日から一時営業を休止し、練習試合が再開された今月2日から、営業を再開した。この日も店内に設置された5台のカメラの前でファンがそれぞれ開幕戦を楽しんだが、席数は本来の50席から半分にし、飛沫(ひまつ)拡散防止のため、大声で歓声を送ることや、応援歌の歌唱を禁止するなど、対策を行っている。

それでも開幕を待ちわびたファンは多く、開幕戦のこの日の予約も、2週間前には“満席”になったという。草野球仲間で訪れた都内の男性4人組は、本来開幕予定だった3月20日にも同店を予約していたといい「その時は野球ニュースを見ただけだったので、今回はリベンジできました」と、笑顔で試合観戦を楽しんだ。

高橋さんは「とにかく今年は、こうした野球居酒屋からもクラスター化しないようにしていきたいですし、ファンの皆さんもそれを理解していると思う。それぞれの立場で盛り上げていきたいです」と話した。【大友陽平】