新型コロナウイルスの感染者数が急増する中、旅行や帰省など県境を越える移動でさらなる感染拡大が懸念されるお盆休みにまもなく突入する。西村康稔経済再生担当相は2日の記者会見で、帰省に関し、高齢者に新型コロナウイルスの感染が広がる恐れがあるとして「慎重に考えないといけないのではないか」と指摘した。そんな中、お盆の行事のひとつである墓参りの新しい形「オンライン墓参り」が注目を集めている。

  ◇    ◇    ◇

「オンライン墓参り」はビデオ会議システム「Zoom」を利用している。サービスを提供する会社のスタッフが決められた時間に墓地を訪れ、オンラインでつなぎながら献花、線香・ローソクのお供え、合掌を代行することで、遠方の家族や親戚が墓地に行かなくても同時に墓参りすることができる。

同サービスをスタートさせたのは、広島県福山市にある墓石店「有限会社かの石材」。同社の狩野寛和さんは「感染者数が多い地域から帰省をためらう方々に、1つの場が提供できればと考えた」と明かした。15年前から、墓の掃除代行サービスを開始し「オンライン墓参りは、『あったらいいな』くらいで考えていた」という。実際に始めてみると「その場で会っている感覚になる」と、手応えを感じ「そういう場を提供できて良かった」と話す。

「片付けの間も、(オンラインを)つないだままにしている」といい、画面越しだが利用者が先祖と1対1で向き合える時間もある。対象範囲は、福山市から車で片道1時間ほどまで。サービスは、雑草抜きなどの墓掃除も含まれ2万円からだという。

狩野さんによると、新型コロナウイルスの感染者数が多い、関西や関東から問い合わせが多く、予約数は掃除サービスの1・5倍ほどだという。利用者からは「コロナの影響で行くのをためらっていたが、良かった」と感謝の声が寄せられている。

全国で同様の試みが続々とスタートしている。「オンライン墓参り」はウィズコロナ時代の新しいお盆のスタイルの1つとなりそうだ。【佐藤勝亮】