皆様は「オフグリッド」と言われてすぐに意味がわかるだろうか? 私は寡聞にして知らず、意味をチクチクと調べた。それによると、グリッドとは送電網、インフラ網のことで、そこから離れる、つまり電力会社の電線、水道、ガスなどの公共インフラに頼らず生活する、ということだそうだ。

この度、オフグリッド型宿泊施設のお誘いをいただき、大手設計事務所の社長や離島でのホテル、ビラの建設を検討しているゼネコンの担当者たちと共に西伊豆の土肥地区へ行って来た。

駿河湾を一望する静かな中山間地にあるビラ、WEAZER。そこは電気も水も全て自給自足という理想を確かな技術力で見事に成立させていた。建物の屋根そのものがソーラーパネルとなっており、その太陽光エネルギーで雨水を浄化し、飲料、料理用などの生活用水に変えていく。設計の基礎には設置場所についての過去20年間の詳細な気象データ分析があり、土地の最も厳しい環境を想定し、不足が起こらないよう、極めて高精度なエネルギーシミュレーションがなされているそうだ。

ここでの安定した生活を支えるのがホームエネルギーマネジメントシステム、通称HEMSで、いわば建物のエネルギー司令塔。蓄電池の残量や雨水タンクの状態など、今、自分たちがどのくらい自給できているのかがリアルタイムで一目で確認できる。私もしばらくの間計器を眺めてみたが、まるで建物全体が呼吸をしているかのような錯覚に陥った。

1日2組限定で、雄大な大自然、駿河湾に囲まれ、豪華な夕食、部屋に運ばれる朝食、各種の興味深いアクティビティーが用意されたこの施設、気楽に泊まれるお値段では決してないが、ラグジュリアスだがエコ、という新しい価値観が提示されており、同行した方々も大いなる関心を寄せていた。

オフグリッドの技術をますます発展、高度化させ、そしてコストダウンを図ることがこれからの地球との付き合いに必要だと強く感じた。

今回見学したのは単なる高級ビラではなく、未来の日本の暮らしの試作品だと思いたい。

独自システムで浄化される恵みの雨の中、説明を受けて笑顔を見せる石原伸晃氏(右)
独自システムで浄化される恵みの雨の中、説明を受けて笑顔を見せる石原伸晃氏(右)