大阪府の吉村洋文知事(45)が5日、府庁で定例会見を開き、新型コロナウイルス感染防止策として「ポビドンヨード」配合のうがい薬の使用を前日の会見で呼びかけたことについて「治療薬ではない」と説明した。呼び掛けをめぐっては「エビデンス(根拠)不足」などの批判があるほか、うがい薬が売り切れたり、転売されるなどの現象が起きている。

吉村知事は「改めて一部で誤解が見受けられる」とした上で「口の中のコロナウイルスが殺菌されて減少し陰性になっていく。その速度が加速するという内容」と説明した。新型コロナウイルスの予防効果が立証されているわけではないと繰り返し「万能薬でも治療薬でもない」と強調。「あくまでうがい薬ですから、体全体にあるウイルスが広がって、それを消滅させる効果があるわけではないと思ってる」と話した。重症化を防ぐ効果があるかどうかを次の大規模研究で検証するとした。

4日の会見で、府内の宿泊療養施設に入所している軽症、無症状患者約40人が、ポビドンヨード配合のうがい薬で1日4回うがいしたところ、陽性率の低下が確認されたとした。うがいをした患者が4日目に唾液のPCR検査を行ったところ、陽性率が約9%、しなかった患者は約40%だったと発表していた。吉村知事はうがいをした人のPCR検査のタイミングは「うがいをした後じゃなくて朝起きたとき」と明かした。「うがいをした後に検査したら減るんじゃないかっていうけど、うがいする前の、寝て起きたときに検査をしている」と説明。うがいをした人としなかった人には「有意な差が出ている」と強調した。

4日の会見直後から、うがい薬を買い求める人が全国に拡散。ネット上では「転売ヤー」が横行した。吉村知事は「買い占めを控えていただきたい。転売は犯罪行為にあたる。やめていただきたい」と呼びかけた。【星名希実】