全国高校選手権に18回出場した島根・立正大淞南高サッカー部で新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が生じている問題で10日、同校のある松江市は新たに3人の感染を発表した。前日9日までに同部から89人(選手87人、教員2人)の陽性を確認。この日は野球部1人を含む生徒2人、生徒の同居者1人の感染が判明した。80人を超える感染者が出た部の専用寮は、2人1部屋でトイレ、風呂が共用。同市は11日以降に厚労省クラスター対策班を招くことも発表した。

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異例の規模となるクラスター発生から一夜明け、関係者は対応に追われた。立正大淞南高は公式サイトに「大きな集団感染を起こしてしまい(中略)多大なるご心配ご迷惑をお掛けする事態を招いてしまい、心より深くおわび申し上げます」と謝罪文を掲載。深夜には新たに野球部員1人を含めた、同校に関係する3人の感染が明らかになった。

この日感染が発表されたサッカー部員1人も専用寮で生活。寮住まいの部員は8日に発表された1人、9日の80人を含めて計82人が陽性となった。この日、松江市の担当者は「部屋は1部屋2人ずつ。中での生活状況は確認中ですが、トイレ、風呂は共用だった」と説明した。同部は先月下旬から今月上旬にかけて大阪、鳥取、香川へ遠征を実施。4日には島根大会を終えた野球部を握手や抱擁でねぎらう様子が、一時的に同校のブログに公開されていた。終業式が行われた7日は、市営補助競技場を使用。この日午前に競技場を閉鎖し、スタッフが約2時間の消毒作業を行った。

島根県も予定外の対応に出た。9日時点で軽症だった約40人は入院する方針を決定。寮生で陰性となった部員は出雲市内の施設に移動し、無症状の感染者は寮で療養としている。同校には医師1人、看護師2人を派遣。さらに松江市は11日以降にクラスター対策班を招き、早期収束を目指す。

県は9日時点で253の病床を確保。丸山達也知事(50)は同日の会見で「(残り)約210床が活用可能な状況。今後感染が拡大しても、対応できると考えている。(事前に)決めたことにこだわらず、医療崩壊を起こさない工夫をしながら、適切に実行したい」と口にしている。

同校は元サッカー日本代表の岡野雅行氏らを輩出した。約350人いる生徒、教員全員の検査を進めている。【松本航、星名希実】