ラグビー部で新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生している天理大が20日、奈良・天理市内の同大学で一般学生への不当な扱いに対する記者会見を行った。

天理大では18日までにラグビー部員53人の陽性が確認され、この日新たに14日のPCR検査で陰性だった部員1人の感染が発表された。これで同部の感染者は計54人となった。

同大学へは、この日までに9月以降に予定していた教育実習受け入れの見合わせが2件、同実習を実施するにあたりPCR検査を求める事例が1件寄せられ、学生からはアルバイトの出勤停止要請を受けたことに関する相談があった。

教育実習の受け入れ先からは「ラグビー部の行動を見て、保護者や地域の方が天理大生への不安を抱いている」。アルバイト先からは「天理大生なので出勤はしばらく見合わせてほしい」といった要請。いずれもラグビー部ではない学生だという。

天理大によれば授業はオンラインで実施。すでに夏季休暇中となっており、部員全員が寮生活のラグビー部とは「接触していないのが明らか」(岡田龍樹副学長)という。

会見に同席した天理市の並河健市長は「使命感ゆえかとおもうが、過剰な防御反応になっていないか。他の皆さんを傷つけ合う社会を作ってしまう。それは、コロナ禍の社会の自殺行為だと思っている。『(学校やアルバイト先は)万が一、感染が発覚したときにどうするんだ』という、ご心配だと思う。風評被害というのは、まさにそういった行動の中から生まれてしまう」と呼びかけた。