将棋の第61期王位戦7番勝負第4局(19~20日、福岡市「大濠公園能楽堂」)を制して、史上最年少での2冠となった藤井聡太王位・棋聖(18)が20日の対局後、同市内のホテルで会見に応じた。

-今シリーズの内容から振り返ってください

持ち時間8時間、2日制のタイトル戦は初めて。そのなかで1手1手、自分なりに考えて指せた。一方で、木村(一基)先生にはこっちが気付いていない好手を指された。課題を感じた。

-戦型の選択は?

なるべく、いろいろな戦型を指せればと思っていました。

-対戦相手の立ち居振る舞いで感じたことは

初めてで分からないことが多かった。勉強になることが多かった。今後に生かしたい。

-予選から負けなし。しかも14戦負けなしでの頂点は王位戦史上初めてです

これまで予選で敗退していたので、今期はリーグ入りを目標にしていた。苦しい将棋も多くあった。羽生先生(羽生善治九段)とリーグ戦、永瀬2冠(永瀬拓矢叡王・王座)と挑戦者決定戦で戦えて、いい経験ができた。実力以上の結果を出せたと思います。

-棋聖戦とタイトル戦を掛け持ちしていた今年は、どういう夏でしたか

2つのタイトル戦に出られて1局ごとに新しい発見があった。盤上、盤外のどちらでも得難い経験ができた。普段以上にじっくり取り組め、トップ棋士の先生方との対局が成長の糧になればいい。

-2冠として、今後どういう未来を描いているか

「強くなる」という目標はどこまでいっても変わらない。今回、勉強になった部分も含めて成長につなげていきたい。

-最年少で2冠、八段です

タイトル戦の経験すらなく、実感がなかなかわいてこない。一層、精進していい将棋を見せられるようにしたい。

-3年間の成長、変化について

公式戦でトップ棋士に教えていただく機会が増えて、成長してこられた。

-今局の封じ手の決断について

局面として、1つの分岐点。序盤から積極的に動かれて自信がなかった。強く踏み込んで勝負しようと思っていた。結果的に良かった。

-段位が師匠(杉本昌隆八段)に追いつきました

気付いてなかったです(笑い)。師匠とは、順位戦(B級2組)と竜王戦(来期2組)で同じクラスにいるので、お互い高め合っていければ

-高校生活最後の夏。宿題は?

対局が6月に再開されてから、対局のペースが多くて学校へ通えていないが、タイトル戦が終わってひと息つけるので、そちらも考えていければ。

-7番勝負では盤外でもいい経験ができたと思いますが、印象に残っていることは

王位戦は全国各地を転戦しますが、移動であったり、地元のおいしいものをいただくのは楽しみにしていた。特に第一局の豊橋市(愛知県)で食べた「三河の海鮮丼」はおいしかった。海鮮丼は対局の時に好手なのかなと思いました。

-「天才少年」か「18歳の青年」。どちらがいいですか

考えたことがないので、どちらでもというところ。今年で18歳。タイトルホルダーという立場になりましたし、将棋界を代表する立場を自覚しないと。

-藤井2冠を目指して、子どもたちが強くなるにはどうしたらいいか、負けたときにどうしたらいいかを教えてください

1局指すごとに、新しい可能性を追求して楽しんで指してもらえたら。負けたときに悔しいと思う気持ちは大切。それを次の対局につなげてほしい。