現代のラーメンブームをつくったとされる「浅草 来々軒(あさくさ らいらいけん)」が14日から新横浜ラーメン博物館で復活、営業を開始する。

110年前につくられたラーメンを復活させる。新横浜ラーメン博物館で文献から調べた情報担当の中野正博さんは「麺は小麦粉から調べて、どうやら館林製粉(日清製粉の前身)の『鶴』と『亀』という2種をブレンドして卵を加えてつくっていたようです」と話す。しかし、「鶴」「亀」も現在は商品化されておらず、さらに調査すると、小麦粉は群馬産の「赤ボウズ」を使用していたことが判明した。「赤ボウズ」も現在は生産されていないため、もっとも近いとされる小麦粉「さとのそら」を使って小麦粉をつくった。

青竹で打った麺は滑らかなつるんとした食感。箸で持ち上げて口に運ぶと、あっとうまにツルンと音を残して消えるように胃袋におさまる。軽くしつこくない。甘みも伝わってきて、リズムよく食せる麺だ。

スープは鶏と豚のガラをつかって、煮干しからダシをとったスープと絡めて開業当時から使用していたヤマサしょうゆでといて完成する。あっさりとしながらも深みの残る味わいだ。軽めに仕上がった麺との相性も抜群である。

チャーシューは、現在のラーメンで多く使われる煮豚風ではなく、一昼夜特製ダレで漬ける。遠火の炭でじっくりとつるし焼きにして、40分間じっくりと焼き上げるため、外側がカリンとしているが肉の質はジューシーで軟らかい。このチャーシューも澄んだスープにぴったりだ。

じっくりと3年後の故郷、浅草での開業を目指す。これは仮に小麦「赤ボウズ」をこれから復活させるとしたら、どうなのだろう。小麦の生産者の高橋利和さんは「国が種子は保存してあって、50粒ならば有償で譲ってくれる。この50粒から小麦粉に使用するなら植えてから3年かければ小麦粉として流通にのせられる」と太鼓判を押す。つまり3年後の浅草での開業に当時加工されていた「赤ボウズ」も間に合うことになる計算だ。

新横浜ラーメン博物館で経営の修業をする来々軒創業者尾崎貫一さんの玄孫の高橋雄作さん(33)は「その小麦粉ができてしまったら、もうやるしかない。ラーメンは好きです、大好きです。おいしいラーメンのため、頑張ります」と背筋をしゃんとして胸を張った。