小泉進次郎環境相は16日の閣議後会見で、東京電力福島第1原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含む処理水について、政府が月内にも海洋放出を決める方針と報じられたことについて「具体的な日程を決めた事実はない」と述べた。

その上で「政府の決定があった暁には、そういったことを受け止めて皆さんの理解を得られるよう、継続的な努力が必要だ」と強調した。

進次郎氏のもとには15日、全国漁業協同組合連合会(全漁連)の岸宏会長らが訪れ、海洋放出に強く反対するとした要請書を提出した。風評被害が起きることへの懸念は強く、進次郎氏はこうした状況を踏まえて「あらゆる角度から、できる貢献を実行していきたい。処理水の問題は(政府方針が)決定したからといってすぐに解決する問題ではなく、実際に出すまでにさまざまな準備が考えられる。その間にやるべきこともある」と述べた。

「仮にそう(海洋放出)なった後、環境庁、環境省の歴史の中で培ってきた環境再生のための知見や、地域の住民の皆さんや国内外に提供すべきデータや状況を把握し、適切な理解や地元の信頼を勝ち得るためにやることは何かという観点から、議論し考えていきたい」とも話した。