菅義偉首相は18日、就任後初となる外国訪問へ出発し、最初の訪問国となるベトナム・ハノイに政府専用機で到着した。

存在感がないと酷評される「菅外交」の初陣。成功に導く鍵を握るのは、真理子夫人(67)かもしれない。前任者、安倍晋三前首相の妻昭恵さんとは対照的な「控えめ」スタイルを貫き、本格的にファーストレディー・デビューした。

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新しい日本のファーストレディーとなった真理子夫人は18日午後、夫とともに羽田空港に現れた。紺色のツーピース。ゆっくりした足取りで、政府専用機へのタラップを上った。

「前任者」とは対照的だった。安倍晋三前首相の昭恵夫人は、飛行機のタラップを上り下りする際、夫と手をつないだ。タラップ上では夫と同様に、笑顔で手を振ることもあった。

真理子夫人は、そんなアッキースタイルから一転。首相の数歩後ろを歩き、手を振ることはなく、おじぎを繰り返した。首相の服の乱れを直す場面もあった。普段から表舞台にほとんど立たないことで知られるが、その控えめな様子は、外交デビューの場でも同じ。タラップで菅夫妻が手をつなぐこともなかった。

9月の自民党総裁選の際、菅首相の元秘書、遊佐大輔横浜市議(39)は日刊スポーツの取材に、真理子夫人について、夫を支え、周囲の人間への気遣いを欠かさない人と証言した。外交デビューの場でもそんな人柄がにじんだ。同日夜、ベトナム・ハノイ到着時には、ツイード調のジャケットに着替え、やはりタラップ上で深くおじぎをした。

真理子夫人は19日にフック首相夫人との史跡視察や昼食会に臨み、20日には次の訪問国インドネシアで、ジョコ大統領夫人と懇談予定。夫の外交デビューをアシストできるか、注目だ。

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○…首相外遊では、夫人も多くの日程をこなす。安倍昭恵さんは06年10月、第1次安倍内閣の初外遊で訪れた中国の中学校で、生徒に「主人は皆さんになかなかお目にかかれない。代わりに私が意見を伺い、主人に伝えたい」と語りかけた。鳩山由紀夫元首相の幸(みゆき)夫人は09年9月、米ニューヨークの日本人学校で、夫と同様に「友愛」の大切さを訴えた。真理子夫人同様、表に出ないことで知られた野田佳彦元首相の仁実夫人は11年9月、同時多発テロで崩壊した世界貿易センター跡で献花した。