米ユタ州南東部に広がる砂漠の真ん中に突如、スタンリー・キューブリック監督のSF映画「2001年宇宙の旅」(1968年)に登場する「モノリス(一枚岩のような建造物)」に似た謎の巨大な金属製の物体が出現して話題になっている。

米CNNテレビなど複数のメディアによると先週、野生生物保護当局が一帯に生息するオオツノヒツジを上空から数える作業を行っていた際に、職員の一人がヘリコプターの中から赤い岩に囲まれた場所に高さ3.6メートルほどの銀色に輝く石柱状の物体を発見したという。場所は非公開とされているが、物体は赤土の地面に植え付けたように立っており、普段、人が立ち入ることができるような場所ではないことから「宇宙人の仕業では?」とネットで話題になっている。

報道によるといつ、誰が何の目的で設置したのかは不明だが、科学者らは地球外生命体による仕業というよりもアーティストが作品として置いたのではないかと推測しているという。物体の正体は分かっていないが、公安当局は「どの星の出身者だとしても連邦政府が管理する公有地に許可なく建造物や芸術作品を設置することは違法行為だ」と声明を発表し、地球生命体による仕業とのうわさは否定していない。

政府の土地管理局はこのモノリスについて今後調査を進めるとしているが、50~60年前に設置された可能性もあると指摘している。国立公園が広がるユタ州には砂漠の中を巡るトレイルが多数あるが、このモノリスの場所を特定しようとするのは遭難の危険性があるのでやめるよう呼び掛けている。現時点で設置者は名乗り出ていない。

SF映画の金字塔と言われる「2001年宇宙の旅」では、400万年前の人類創世記に謎の黒石板モノリスに接触した猿人が人へと劇的な進化を遂げるストーリーとして登場している。そして2001年、モノリスの謎を研究するため初の有人木星探索へと旅立つという映画の中で極めて重要な役割を果たしていることから、映画の熱狂的ファンによる仕業の可能性も指摘されている。

いずれにしても、コロナ禍で発見された謎の物体にネットは大騒ぎだが、こんな時だからこそエイリアンや悪魔を呼び出すのはやめようと呼びかける声もある。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)